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- 映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』〜遺産分配に差がありすぎる〜
『リング』をきっかけにここ最近、邦画ブームでそればっかり観ています。そういうわけで久々に映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』を見返しました。
篠原涼子と広瀬すず主演、監督は『モテキ』の大根仁監督。2018年の映画です。
何年か前にまっそさんが「なんかこれよかったよ」とおすすめしてくれた作品です。そのときも一度観たのですが、久々にタイトルを目にしたとき、内容がほとんど思い出せず改めて観ることにしたのです。
あらすじ
1990年代に青春期を過ごした仲良しグループ“サニー”の6人は、それから20年後の現在、それぞれの事情を抱えて生きていた。ある日、専業主婦の奈美は、久しぶりに芹香に再会する。しかし芹香は末期ガンに冒されていて、壮絶な闘病生活を送っており……
余命僅かな友達のために、昔の仲良しグループが集合するというストーリー。現在と過去、交互に話が進んでいきます。
すべての人と連絡を断つ人いるよね
闘病生活を送る芹香(板谷由夏)のために、奈美(篠原涼子)はなんとかサニーのメンバーを集めようと奮闘します。しかし、疎遠になってからすでに20年。
なんとか見つけ出したメンバーの裕子(小池栄子)からは、「昔に引きずり戻されたくない」と拒絶。学校を卒業したら、誰とも連絡取らないという人が一定数いますが、そのタイプですね。
結局、裕子は芹香に会いに行くのですが、残り二人はなかなか居所が掴めません。
やっと見つけた心(ともさかりえ)は、商売に失敗し、アルコール中毒に。ただれた生活を送っていて、まともに話もできない状態。そんな姿を恥じた心は、奈美を罵倒し、追い返します。
憔悴した奈美は、芹香から渡されたDVDを家で観ることに。そこには、サニーのメンバーが「未来の自分へのメッセージ」を撮影した映像が映されていました。
将来の夢をイキイキと語るコギャルたちの姿が切ないシーンです。ほとんど全員が思うような未来を描くことはできませんでした。
私はコギャルではありませんでしたが、学生時代の騒がしい友人たちを思い出すとジーンときます。会う人は今も会うけれど、会わない人はもう連絡先も知らない。
どうしてなんだい、芹香
最終的に芹香は亡くなってしまいます。お葬式には3人のメンバーが集まり、芹香を見送ります。
最初に観たときも思ったのですが、芹香が生きているうちに全員が集合することは叶わないんですよね。そこがリアルというか、無慈悲だなぁと思いました。
しかし、時間差でお葬式に現れたのが心。アルコールが抜けたのか、だいぶ様子はまともです。芹香に「間に合わなかった」と涙。いや本当だよ。奈美に声をかけられた時点で会いに行っていれば…。
芹香は、遺言で思いがけないプレゼントをみんなに用意していました。
奈美→サニーの新しいリーダーになれ。
裕子→副リーダーになれ。
梅→梅の会社が扱っている港区のビルを一棟買う。営業担当は梅で。
心→自分のマンションを譲る。所有しているビルのテナントを一軒あげるからそこで美容院をやってほしい。遺産を譲るので娘の教育費、養育費に。アルコール中毒を治すための病院は予約してある。
いや、ちょっと待ってくれ。
差が……差が、すごい。サニーを集めるため中心となって動いた奈美には、新リーダーの座だけ。一方、一度も会いにこなかった心には、家、店、金を譲ると大盤振る舞い。
これはのちのち強烈な遺恨を残す分配ではないでしょうか?
私が奈美だったら、心に対して冷静になれない。本当にそれで大丈夫だったのか、芹香?
この作品、オリジナルは韓国の映画なので、こうした“大富豪的バラマキ”はよくある展開なのですが、日本版でやるとさすがにちょっと無理が生じてしまいますね。
芹香が会社を経営していている成功者であることは描かれていましたが、港区のビルを一棟買うって一体どんなビリオネア。そして、買ったビルは一体何に使うつもりなのか? 財団とか作るレベルの成功者だったのか。
でもまぁ、こんなツッコミいらないですよね。素直によかったねと言ってあげたい。
ちなみに、最後まで見つからなかった6人目は、本当にラストシーンにちらっと登場します。これで全員そろったねという、ハッピーエンドで幕を閉じるのです。
でもアクが強そうなメンバーなので、きっとまた疎遠になっていくんだろうなと思いました。大人になって生活環境が変わると、なかなかずっと仲良しとはいきません。
そんなことを考えさせてくれる映画でした。
いや、もっと普通にハッピーな映画なので、これから観る人はそのつもりで観てほしいです。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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