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- 『だんドーン』35話〜倫理観は人それぞれ〜
『だんドーン』35話が公開されました。
池波作品って読みやすいですよね
時間は飛んで、桜田門外の変から、1年10ヶ月後。
今回は、太郎くんがメインの回です。
もう出てこないと思ったけど、また出てきてくれて嬉しい。
太郎君が、「吉野山の中村半次郎を、小松帯刀のもとに連れて行く」のが今回のテーマです。
中村半次郎くんは、予告にあった通り、『幕末の四大人斬り』の一人ですね。
池波正太郎の『人斬り半次郎』のモデルです。
「今に見ちょれ」。薩摩藩中でも「唐芋侍」と蔑まれる貧乏郷士の家に生れた中村半次郎は、だがその逆境に腐ることなく、いつの日かを期していた。秀抜な美男子で気がやさしい。示現流の剣は豪傑肌に強い。恵まれた資質のままに精力的に日を送っていた二十五歳のある日、半次郎は西郷吉之助と出遇う。時は幕末、惚れ込んだ男=西郷につき、半次郎は水を得た。京の町に〈人斬り半次郎〉の名が轟く。
面白そうですね。
池波作品は『鬼平犯科帳』しか読んだことがないのですが、とても読みやすくて好きです。歴史小説だけど小難しい説明や描写がないので、小学校高学年とかでも読めそう。
倫理観は人それぞれ
中村半次郎は、『だんドーン』のわりと前半から姿を表していた人物です。自分が贈った芋を、西郷どんが喜んで食べてくれたのをきっかけに、西郷どんに心酔したみたいな流れだったと思います。
貧乏侍だけど、薩摩一の豪速剣の持ち主だそうです。小松帯刀は、とある「重要任務」を中村半次郎くんに任せるため、呼び出したというわけです。
しかし、中村半次郎くんを呼びに行く途中、悪徳な3人の山くぐり衆に捕まってしまいます。
ボコボコにされているところを助けてくれたのが、中村半次郎くんでした。
あっという間に、3人とも全滅させてしまった中村半次郎くん。倫理観がぶっ飛んでいます。
いくら狼藉者といえど、殺してしまうのは犯罪です。なので、小松帯刀には「たまたま滑落して死んでしまった」と、サラッと嘘をつきます。
残された死体は、野犬が食べて、大地の肥やしになってくれると言うあたり、ヤバい人です。
ただ、本人的には、「一般人や女子供に狼藉するような輩は犬のクソにしたほうが皆のため」と一応筋が通っているようです。
今回の特殊任務は、これくらい頭のイカれた奴じゃないと務まらないと判断した小松帯刀は、中村半次郎くんを採用することを決定します。
コンビを組むのは、ちょうど江戸から帰ってきた主人公・川路。久しぶりだな川路。
職務倫理の権化である川路と、倫理観がおかしい中村半次郎くんの、凸凹コンビが誕生するぅ〜という、ドラマ的展開で今週は終わりです。
桜田門外の変が終わって、後始末段階が終わり、ようやく新しい展開に入ってきたようです。楽しみですね。『人斬り半次郎』も並行して読んでみたいと思います。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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