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- 舞台『鋼の錬金術師』〜思い出せない人がいる〜
我が家にも全巻揃ってはいるが…
2021年に『鋼の錬金術師』が、20周年を迎えたそうです。もっと昔の作品のような気がしていましたが、意外と20年前。それでも20年。
周年の余韻はまだまだ続いており、今年3月21日からは、新宿で20周年記念のコラボカフェが期間限定でオープンしたそうです。「追加開催」とのことなので、よっぽど人気があったのだと思われます。さらに、この春には初の舞台化。ということで行ってきました。
説明するまでもありませんが、2001年に少年ガンガンで連載スタートした『鋼の錬金術師』、通称『ハガレン』は、2021年までにシリーズ累計8000万部を突破した大ヒット作品です。あまりの人気のため、最終話は2号にわたって掲載されたという伝説をファンの人から聞きました。
もちろん我が家にも、原作漫画が全巻揃っています。舞台を観る前に読み直そうかな、どうしようかな、と思っているうちに、当日を迎えてしまいました。
東京公演は日本青年館ホールで行われます。この日は生憎の雨でしたが、会場はすでに多くの人で賑わい、特にグッズ販売には長蛇の列ができていました。
グッズの列のほか、アクリルスタンドを撮影する列も。
本日の出演者をアクスタで紹介しています。
この日は、
エドワード・エルリック役 一色洋平
ロイ・マスタング役 和田琢磨
ニーナ・タッカー役 小川向日葵
でした。一色洋平さんは、昔演劇集団キャラメルボックスの『ゴールデン・スランバー』のパンフレットを作ったときに、お会いしたことがあります。『嵐になるまでまって』に続き、2作連続のゲスト出演をオーディションで勝ち取ったというお話を聞いたのを覚えています。今回のエド約も4ヶ月にわたるオーディションで選ばれたということなので、底力のある役者さんだと思います。
もう随分昔の話ですが、こうして別の舞台、別の形で(一方的に)再会できるのが嬉しいです。
一応あらすじです。
「鋼の錬金術師」錬金術の盛んな国家・アメストリスに、そう呼ばれる国家錬金術師がいた。彼の名はエドワード・エルリック。史上最年少で難関の資格を得た天才錬金術師は、かつて最愛の亡き母を生き返らせるために、弟のアルフォンスと「人体錬成」という禁忌を犯していた。代償としてエドワードは左足と右腕を、アルフォンスは肉体の全てを失いからっぽの鎧に魂を宿す。絶望の淵に立たされた兄弟だが、失った身体を取り戻すことを決意する。手がかりとして、莫大な力を持ち錬金術の基本原則を無視した錬成が可能になるとされる「賢者の石」を探し求め、兄弟はすべてを取り戻す旅を始める―。
舞台版では、1巻から5巻あたりまでの話を中心に展開。全27巻なので結構序盤です。
鼻歌を、歌唱シーンに変える大胆な演出
冒頭でさっそく乱闘が始まります。列車の中で強盗? に遭遇したエドとアル。一色さんのアクションが軽やかでした。とても身軽。強盗? たちをバッタバッタとなぎ倒していきます。
ハガレンといえばやはり錬金術です。武器を作ったり、炎出したり、どうするのかなと思ったら、プロジェクションマッピングや映像で表現していました。マスタング大佐の炎も、紗幕にプロジェクションマッピングを投影する形が取られ、おかげですごいよく燃えていました。
しかし、そうした最新技術よりも、セットに隠されていた武器をさっと取り出していかにも「今錬成しました」みたいな演出のほうが個人的には面白かったです。本当に突然出てきたみたいでした。
ただ、牢獄で手錠をされた人が突然歌い出したシーンには驚きました。こんな人いたかな? なんで歌っているのかな? 終演後に友人に聞いたところ、この人はキンブリーというサイコパス国家錬金術師でした。そうだ、キンブリー! 自宅に帰り原作を読み返してみたところ、キンブリーは初登場時に牢獄の中で鼻歌を歌っていました。鼻歌を高らかな歌唱シーンに変える演出も面白いですね。
鈴木勝吾さんという役者さんで、ミュージカル『憂国のモリアーティ』では主演のモリアーティ役を演じた方です。
こんなサプライズ、見たことない
キンブリーのソロ歌唱もサプライズだったのですが、そのあとにもまたサプライズがありました。傷の男とエンヴィたちとの激しい戦闘が終わったそのときです。舞台奥の幕がするする上がると、なんとそこにはバックバンドの皆さんが。なんと生バンドでした。どうりで音が良いわけだ!
舞台の手前ではそれまで通り芝居が続けられますが、後ろにはバックバンドがずっと見えている。斬新な演出だと思いました。
キャストさん皆情熱的に演じていてとても良かったのですが、私はウィンリィ役の岡部麟ちゃんが特に好きでした。おきゃんな感じのヒロインがよく似合っていた。声が高いのも可愛らしかった。現役AKB48のメンバーなんですね。
ラストは、行きずりの人の出産を手伝った後、「次の町へ行くぜ!」ということで列車に乗って終わりました。約3時間の公演でした。「to be continued」と書いてあったので、ひょっとしたら舞台版も続編があるのかも。
続編を観る前に、今度こそ全巻復習していこうと思います。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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