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『呪怨 THE LIVE』〜後編:椅子から転げ落ちた人〜

2023.08.16

前編を読んだ高木さんから、

「これは前編どころか、プロローグなのでは?」と物言いが入りました。

だったらなんだというのでしょうか? では後編に入りたいと思います。お待ちかねの本編です!

※ここからは激しくネタバレしています

「H・A・P・P・Y」

『呪怨』に来る客層はどんな感じなのかしら?? と、思って観察したところ、20代〜40代くらい、男女比率は半々のように見えました。呪怨シリーズのファンで、舞台版を期待して来た方もいるだろうし、キャストの方々のファンもいるでしょうね。

というのも、メインキャストの一人、小松準弥さんは歌劇『桜蘭高校ホスト部』で須王環役を演じた方です。私はこちらの舞台は観に行っていないのですが、『桜蘭高校ホスト部』は好きです。なかでも環先輩が一番好きです。なのでちょっとテンションが上がりました。

私「この人、小松準弥さんて人、格好いいね」
高木「うん」
私「あ、ホスト部で環先輩やってた人なんだって!」
高木「へー、そうなんだ」
私「私なんだかんだ環先輩が一番好きだわ」
高木「うん」
私「格好いいよね」
高木「そうだね、環先輩っぽいよね」
私「あ、環先輩がね?」
高木「?」
私「?」

そして原幹恵さん。しばらく芸能活動を休業していましたが、この舞台で本格復帰したようです。原幹恵さんのことはYou Tubeチャンネル『オトナを楽しめ!』をたまにウォッチしていました。相変わらず可愛い! 生で観られるなんてラッキーです。

あべこうじさんは、数年前、二度ほど取材させていただきました。それまでは「H・A・P・P・Y」のイメージが強かったのですが実際にお会いしたあべこうじさんは、めちゃくちゃ格好良くてたまげました。色気がすごい。お芝居ははじめて見るのでこちらも楽しみです。

呪われた仕掛け

さて、ロビーから劇場に入るところですでに呪怨的仕掛けがありました。こちら。

まるでお化け屋敷の入り口ですね。中はこうなっています。

なぜかこの写真はとても明るいのですが、実際はもっと暗い道でした。壁際には御札のようなものが貼られていてよく見ると、キャストの一言が。

楽しむぞ♡

不気味な人形も。

アリーナステージになっており、中央にお家が立っていました。呪われている感じ。

こちらの舞台、座る場所によって恐怖度が変わります。今回我々は【一般席・エリア「怨」】に座りました。

前方のお家に最も近い席は「最凶シート」だそうで、何が起こるかわからないそうです。

場内アナウンスも、まったく覇気のない幽霊ボイスで面白かったです。いよいよ始まります。

ぐるぐる回る呪われたお家

上演開始からすぐ驚いたのが、このステージ回るんですね。お家がぐるぐるずっと回っています。なので、お家の中の状況がよくわかります。

いしだ壱成が出てきたときは、「いしだ壱成だ」と心の中でつぶやきました。ネットニュースでたまに見かけるけど、俳優業もちゃんとやっているんですね。さすがの存在感です。あと、テレビで見るよりも大きい。

ストーリーは、『呪怨』『呪怨2』をもとに構成されています。

ある一家で起きた惨殺事件をきっかけに、次々に起こる怪奇現象…
怨念が蓄積されて「業」となった呪いのバショは、
そこに触れたモノ全ての命を奪い、新たな呪いを生み出していく―

呪いの根源である佐伯家にはじまり、とばっちりで犠牲となった小林家の話、呪いの家に引越してきた北田家、家を仲介した不動産屋の鈴木家と、事件を捜査する警察。物語はこれら5つの視点から交互に繰り広げられていきます。

時系列も入れ替わるので、『呪怨』シリーズをまったく観たことがない人だと最初ちょっと混乱するかもしれない。というのも私自身、遠い昔に劇場版一作目、奥菜恵主演の『呪怨』しか観たことがない側の人間です。かろうじてあらすじは知っていたものの、最初キャラクターを整理するのに混乱しました。『呪怨』と『呪怨2』観てくればよかった。

恐怖の「凶演者」たち

この舞台、見どころはやはり恐怖の演出です。

舞台上で起きた恐怖を客席に伝達するのが、「凶演者」なる人たちです。白塗りに白いワンピース、長い黒髪で、ほぼ幽霊。見たことない体の使い方をしながら、舞台上を蜘蛛のように不気味に這い回ります。

そんな彼女たちが、上演中、たびたび観客に近づいてくるのです

こちらに向かってきたときは「嫌だなー嫌だなー」と思っていたのですが、なんと斜め後ろの席に座ってしまいました。そしてそのまま観劇し始めたのです。隣の席じゃなくてよかった。ほかの席にも多分「凶演者」が散らばって座っていたと思います。

そして忘れた頃に突然喋りながら立ち上がるので、さすがにビビりました。

なかには「凶演者」が本当に苦手なお客さんもいます。前方の「最凶シート」に座っているお姉さんは、上演中、ほとんど隣のお友達にひっついました。怖いの苦手なんだろうなと思っていたら、「凶演者」が近距離まで接近した際には、驚きすぎて椅子から床に転げ落ちていました。申し訳ないけど、さすがにちょっとだけ笑ってしまいました。

「凶演者」を相当警戒していた私たちは、舞台途中で遅れて入ってきた観客に対しても、疑いの目を向けるようになっていました。「これも劇場側の演出で、きっとこの人はあとから凶演者になるに違いない」、と。
結局普通の遅刻してきたお客さんでした。

とにかく可愛い俊雄

物語が進むにつれ、徐々に広がっていく呪い。惨殺シーンやフライパン殴打シーンなど、映像版の見どころ(高木談)も残酷に描かれていました。

もちろん、『呪怨』といえばの俊雄くんも登場します。さすがに私も知っている俊雄くん。パンツ一丁で駆け回る俊雄くんは、怖いというより可愛かった。

個人的には、いしだ壱成が懐中電灯でお家を照らしながら捜索するシーンが好きでした。懐中電灯以外の明かりがないので、客席もいしだ壱成と同じものしか見えません。サッと懐中電灯が向いた方向にまたしても「凶演者」が。ホラーゲームのようです。

最後は、呪われて精神に異常をきたした原幹恵さんが、「俊介のしゅんは、俊雄のとし」と歌って終わります。私はこのメロディが今も頭から離れない。

映像と舞台が融合したような、面白いステージでした。演出もよかったのですが、私は役者さんたちのお芝居も好きでした。みんな呪われそうな感じがしててよかった。

真夏にホラー観劇ができてよかったです。誘ってくれた高木さん、ありがとう!
そして穂科さんがいる飲み屋に今週末行くので、今度こそ会えますように!

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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