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認知症祖母の思い出〜団子事件〜

2024.05.22

昨日、週刊女性で

週刊女性『【62歳で若年性認知症】支える家族「葛藤の6年間」』

という記事を執筆したことをお知らせしました。

補足として、若年性認知症とは65歳未満で発症する認知症のことを言います。

一般的に認知症の症状は人それぞれで、物忘れ、怒りっぽくなる、気力がなくなるなどがあります。

インタビューさせていただいた塚本さんの場合は、言葉が出にくくなる、気力がなくなる、という症状から始まったとのことです。

奥様の沙代子さんは、もともと介護士をされており、その道のプロなわけですが、介護について「仕事と家族は全然違う」とおっしゃっていました。身内の介護はそれだけ大変だということです。

私自身、大学卒業後2年間ほど、認知症の祖母と暮らしていましたが、なかなか大変だった思い出です。

家賃を浮かせるためだけに一人暮らしの祖母の家に転がり込んだ分際で、文句を言える立場ではまったくないのですが、当時は祖母の言動一つ一つにイライラしていました。

徹夜で仕事をして帰ってきて、朝やっと寝たところなのに、「いつまで寝てるの」と階段をバンバン叩く音で起こされます。

「さっき帰ってきて今から寝るところだから」と何度説明しても10分後には再び「いつまで寝てるの」と階段を叩く音で起こされます。

そんなことが頻繁に起きると、「寝てるから起こさないで」と語気が荒くなることもありました。たまに「死んでるのかと思った」と言わたりもしました。今思うと、なかなかユニークなこと言う婆さんだなという感じですが、当時は本当に頭がおかしくなりそうでした。

また、おばあちゃんあるあるで、「孫にとにかく食わせたががる」というのがあります。

祖母ももれなくそのタイプで、ある日、祖母から「これ食べて」と串団子をもらいました。

3本入りで、そのうち一本はすでに祖母が食べたので、残り2本。

私はそこまで団子が食べたい気分ではなかったのですが、断ると面倒なのでひとまず「ありがとう、あとで食べるね」と返しました。

でも、どうしても団子を食べる気になれない。どうしよう。

本当にクソ孫で申し訳ないのですが、祖母はだいぶ物忘れが激しいタイプだったので、それを利用しようと考えました。すでに祖母が食べた一本を、「自分が食べた」ということにしようと思ったのです。

しばらくすると案の定、祖母から「団子食べた?」と聞かれます。私は何食わぬ顔で「食べたよ。ほら一本減ってるでしょ」と祖母に言います。

物忘れの酷い祖母なら、てっきり自分が食べたことを忘れていると踏んだのです。ところが、祖母はしばらく団子をじっと見つめて、「違うよ、これおばあちゃんが食べたんだよ」と言いました。私は驚きました。記憶力って不思議、と。

おばあちゃんの食べろ攻撃からはどうやっても逃げ切れないのだと観念して、素直に団子を食べました。

振り返ると、クソ孫的な思い出ばかりが浮かんできて、おばあちゃんゴメンねという気持ちになります。でも、ちょっとだけ良かったこともあります。

一人暮らしの高齢者の家には、たまに変な押し売りがやってきます。スーツ姿のニコニコした男性が本当に来ます。

ある日、玄関で祖母が何やら話しているので気になって見てみると、図々しく玄関に座り込んだセールスマンが祖母に何か売りつけていました。

てっきり一人暮らしだと思っていた高齢者は、突然出てきた孫に驚いて、すぐさま帰っていきました。なので何を売りつけていたかはわかりません。

でも、私がいた期間は、多少なりとも押し売りの防波堤になっていたのかなと思います。

驚くことに続きます。

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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