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- 山本文緒『自転しながら公転する』
山本文緒さんの7年ぶりの長編小説『自転しながら公転する』やっと読みました。
中学生の頃にジャケ買いした『きっと君は泣く』を読んでからハマり、恐らくほぼすべての作品を読んだと思います。その後、作品からはしばらく遠ざかっていたけれど、昨年SNSで山本さんのアカウントを発見してから再燃し、このタイミングで新作が出てくれたのがとても嬉しいです。
『自転しながら〜』は、32歳の女性を主人公に、家族問題や結婚問題、子供問題を取り扱った作品です。
もっとざっくばらんに言うと、病気の家族を介護する実家住まいの契約社員アラサー女子が、自分より学歴も年収も低い元ヤン男と結婚するかどうか悩むという話です。結婚相手のスペックは誰もが気にするところですが、それをしっかり言語化するのって難しかったりします。自分を棚上げしているようで、言いにくいです。
しかしこの作品では、主人公の都が「相手のスペック」について、赤裸々にその気持ちを語ってくれるので、すっきりします。
また、いきなり大きな不幸はやってこないけど、物語が進むに連れ、じわじわと嫌な出来事が主人公に降り掛かっていくのは、山本さんらしい作品だと思いました。でも読後はとても良い気分になれます。
(そういえば、山本さんの作品でバッドエンドってない気がする)
長編小説も大好きだけど、山本文緒さんに関しては、私は短編小説がおすすめです。一番好きなのは『ブラックティー』です。また読みたいです。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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