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- ニシキヘビが捕まりました
横浜市でニシキヘビが脱走したというニュースがありました。もう見つからないと諦めかけたときに見つかったということで、本当によかったです。
このニュースで思い出すのが、上海に行ったときに食べたヘビ料理です。8,9年前、雑誌の企画で弾丸上海旅というのに行きました。編プロに入った直後のことでした。
新人ということもあり、取材は別の人が行くだろうと思っていたものの、誰もスケジュールが合わず、やむなく私が行くことになりました。ちょうど映画の約束をしていたので心底嫌だったのですが、断れるはずもなく、泣く泣く行った苦い思い出です。
そんな思いで行ったのに、さらに出発直後からトラブルが続き、散々でした。全体的に辛い思い出ですが、特に難易度が高かったのが現地で中華系航空会社の副社長にインタビューするというミッションでしす。
幸い、副社長は日本語が堪能だったので、会話に困ることはありませんでしたが、まだ経験が浅い中でのたった1人でのインタビューだったので、現地で無事に出会えるのか、ICちゃんと回せるのか、質問すべて聞くことができるのかなど、考えることは山程ありました。
上海に到着し、無事に副社長と合流した私は、現地のレストランで食事をしながらインタビューをすることになりました。
気さくな副社長のおかげで、インタビューは滞りなく進み、食事を楽しむまでの余裕が出てきたのですが、その中で登場したのがヘビ料理です。「上海はカニが有名ですが、みんな食べると思うので、ここでは珍しいヘビ料理はいかがですか?」と副社長に進められたので、私は了承しました。
内心カニが食べたかったのですが、そんなふうに勧められてヘビを断れるわけがありません。出てきたのは、たしかヘビの唐揚げ風の何かだったと思います。衣がついてこんがり揚がっていたような。せっかく気を使っていただいたので箸をつけないと失礼かと思い、まっさきにヘビを食べました。
ところがそのヘビが、石かと思うほど固く、とてもじゃないですが、一度で噛み切れません。歯がかけるかと思うほどでした。
(実際、その後犬歯が欠けたのですが、多分このときのヘビが原因だと思っています。)
ヘビってこんなに固いんだ。そう思いながらも、なんとか飲み込みました。そしてしばらくしてから、副社長がそっとヘビに手を伸ばしたかと思うと、皮か骨から、身を取り出すではありませんか。
知らなかったのですが、私はヘビの食べてはいけない部分まで一緒に食べていました。どうりで固いわけです。副社長には「ヘビはこう食べるんですよ」と、言ってほしかった。でもあまりにも頑張って食べるので、きっと言えなかったのだと思います。きっと、そのあとヘビを食べるの気まずかっただろうな。
もちろん私も、二度とヘビに手をつけることができませんでした。気まずい食卓でした。たった一泊だけの上海旅でしたが、この出来事は8,9年経った今でも忘れられません。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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