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- 『エブリ・ブリリアント・シング』〜観客参加型のお芝居〜
佐藤隆太さんの一人芝居『エブリ・ブリリアント・シング ~ありとあらゆるステキなこと~』の稽古場ギャラリーに参加させていただきました。
『エブリ・ブリリアント・シング』は、東京芸術劇場がりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館と共同で制作した作品だそうで、初演は2020年の1月。全国各地で観客を魅了した作品の、待望の再演です。
誘ってくれたのはKOMATSUさん。
大学同期5名と後輩1名、小1キッズ1名の計7名。この人数でランチするとなったら、やっぱりファミレスだよね。日本は使い勝手の良いファミレスが多くていいなって思います(海外は知らねぇ)。
思った以上に参加する!参加型のお芝居
ファミレスでひとしきり無駄話で盛り上がったあと、稽古をしているスタジオまで移動。
同じくギャラリーに参加する方が20人ほどいらっしゃいました。舞台はセンターステージ、客席が取り囲むように並んでいます。私は角の部分に座りました。隣はKOMATSUさんです。
お芝居のあらすじはこちら↓
僕が7歳の時に、ママが入院した。
どうやら、生きることが切なくなってしまったみたいだ。
僕はママを勇気づけようと、ステキなことやステキなものを、ノートに書き出してみた。
1番 アイスクリーム
2番 水鉄砲合戦
3番 寝る前に見るテレビ
4番 ………………
そして1000番まで集まったら、 ママは、きっと元気になる!そう信じて。
ママは時折、僕のノートを見てくれていたみたい。だって、まちがった字を、ちゃんと直してくれたもの。 そんな子ども時代を過ごした少年が、大人になっても、ステキなことを書き続けている。それは……。
「僕」を演じるのが佐藤隆太さん。ただし、このお芝居は観客参加型なので、我々お客もお芝居に加わります。
上演前、観客には「ブリリアント・カード」なるものが配られます。カードには番号と言葉が書かれていて、色も筆跡もすべてバラバラ。書かれている言葉はネタバレになってしまうので内緒です。
上演中、番号が呼ばれたらそこに書かれた文字を読み上げます。なるほど、参加型とはそういうことなんですね。実際にセリフを喋るんだ! 思ったより参加型でした。本番の公演では、喋りたくない人は辞退もOKだそうです。今回は稽古なので全員強制。さらに人数が少ないので一人2枚〜3枚カードを渡されます。
佐藤隆太さんがギャラリー一人ひとりにカードを配ってくれたのですが、本番もそうなのでしょうか? 観客嬉しいだろうな。
ところで私には2枚のカードが配られたのですが、そのうちの一枚がめちゃくちゃ美文字でした。写真に残せないのが残念でしたがフォントみたいな字だった。文字間隔も均等だし、文字のバランスも美しい。
「これスタッフさんが書いたのかな? どなたが書いたか聞いてもらってもいい?」とKOMATSUさんに話しているところで、突然お芝居が始まりました。
頭が真っ白になったK田くん
舞台は約75分。その間佐藤隆太さんが一人でお芝居をするのですが、途中観客が「役者」として舞台にあげられるシーンも。ほぼランダムなので、あげられた方はドキドキですね。
同期のK田くんがとある役として舞台にあがったのですが、とても面白かったです。終わってから「緊張で頭が真っ白になった」的なことを言っていましたが、とても上手に演じていました。
私もハラハラしましたが、なんとか自分に振り分けられたセリフを喋ることができました。
ネタバレになってしまうのでストーリーはそんなに語ることができませんが、ときに笑ってほっこりするとても素敵なお話です。会場全体で作り上げるので、温かい気持ちになれます。今までも参加型のお芝居を観たことはありますが、ここまで没入感がある作品ははじめてだったかもしれない。
佐藤隆太さんのお芝居もとても良かった。最初から最後までギャラリーに気を使ってくださり、楽しく参加することができました。
お芝居の性質上、公演ごとにガラリと雰囲気が変わるとのことで、リピーターも多いそうです。たしかに、K田くんが演じた役を、ほかの人が演じたらまったく違うイメージになるだろうな。
とても貴重な経験ができました。KOMATSUさん、ありがとう!
東京芸術劇場では8月11日(金・祝) ~ 8月27日(日)。
そのほか全国の詳しい公演日程はこちら→https://www.geigeki.jp/performance/theater342/
結局、美文字を書いたのが誰だったのかはわかりませんでしたが、本番でももしかしたら紛れてるかも。探してみてください。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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