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- 『血の轍』〜廃人ENDじゃなくてよかった〜
『血の轍』の最終巻をやっと読みました。
全17巻。
※激しくネタバレしています
以前ダ・ヴィンチWebで、押見修造先生についての記事を書きました。
『惡の華』『ぼくは麻理のなか』『血の轍』…押見修造作品に不可欠な“母親”の存在
タイトルは“母親”の存在となってますが、内容的には“女”の存在ですね。
母は、血の轍の静子ママだけです。
これ以外ないよな
さて最終巻は、これ以外ないんだろうなというような終わり方でした。
廃人となった静子ママは、ついに衰弱して息絶えます。
それを一人見送る静一。
長く苦しい戦いがついに終わりました。
そして、いつかのタイミングで地元に戻ってきた吹石さん。かつて静一が暮らしていた家を見に行くも、すでに更地に。
序盤では吹石さんもたくさん登場して、静一がおかしくなってからもどういうわけか気にかけてくれていい子だったなぁ。
その夜、吹石さんが見た夢に静一が出てきました。
夢の静一は現実そのまま。時系列がどうなってるかわかりませんが、白髪の老人になっている。そしてふと静子ママのことを思い出してみるけど、もはや顔も思い出せなかったというEND。
ものすごく時間が経って、せいちゃんも心穏やかになったということかな。そうだったらいいなぁ。
1巻を読み返すと、せいちゃんはまだわんぱくて可愛かった。友達もたくさんいて、社交的な子だったのに、こんな大人になるなんて、一体誰が予想できたでしょうか。
ママも美人でキュート(表面的には)だったのに、まさかこんなことになるなんて。
救いはないけど、ものすごく暗黒な終わり方じゃなくてよかったなと思いました。
せいちゃんも廃人ENDだったら、ちょっとしんどすぎたと思うので……。
調べたら1巻が出たのが2017年。
6年も経っていた。
セリフがないページが多くて、ストーリーの進みが気になったときもあったけど、
最後まで読めてよかったと思える作品でした。
そういえば『おかえりアリス』も途中までしか読んでなかったので、次はこちらの完結を読んでみたいと思います。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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