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- 認知症祖母の思い出〜民泊再生からの廃墟END〜
続きです。
祖母と2年ほど暮らしたのち、私は引っ越し、その後祖母も施設に入り、住んでいた家は空き家になりました。
日本経済新聞の記事によれば、総務省が4月30日に発表した住宅・土地統計調査によって東京都の空き家数は2023年10月時点で、89万8千戸であることがわかったそうです。
空き家が増えている!
祖母の家もどうしようかと悩んだのち、誰も住む人がいないし、老朽化も進んでいたので、最終的に手放しました。↑11%増の中には祖母の家も多分入っています。
同じような状況の人たちが、どこにどうやって家を手放しているのかわかりませんが、私の祖母の家は、今流行りの民泊業者に譲渡することになりました。
ちょうど5年ほど前です。インバウンド効果で民泊のニーズが高まっている時期だったのですぐに買い手が見つかったんだと思います。
しばらくしてから家を見に行くと、外観の雰囲気はそのままでしたが、壁を塗り直していたり、庭が喫煙スペースになっていました。
HPで内装も確認できたのですが、バス・トイレをはじめ、キッチンもリビングも寝室も全面的にリフォームされており、綺麗に生活しやすくなっていました。
日本画のレプリカっぽい装飾品もあり、インバウンド向けを狙ってる感じ。
内装に関しては住んでいた頃の面影はすっかりなくなっていましたが、取り壊しになると思っていた家がそのまま残っているのは、嬉しかったです。
ここでインバウンドの人とか、地方から出てきた人が、新しく思い出を作っていくんだなと思ったら胸が熱くなりました。
友達に話したら、大変面白がってもらい、「みんなで泊まりにいこう」なんて計画も持ち上がり、ワクワクしていたところ、コロナ禍がやってきます。
インバウンドどころか、国内旅行者もいなくなり、というか移動そのものが制限されていたので、みんなもう民泊どころじゃなかったと思います。
コロナ禍も落ち着いてしばらく経った昨年末頃。久々に民泊のHPを見てみると、建物のページ自体はありましたが、予約ができなくなっていました。
偶然近くに立ち寄る用事があったので、家を見に行ってみることにしました。
すると、ちょうど水道工事の人らしき人が何やらしている。
作業が終わるのを待って声をかけてみました。
私「ここって誰か住んでいるんですか?」
業者の方「いえ、メーターがしばらく動いてなかったので、水道を止めてほしいとオーナーから連絡があり今止めたところです」
よく見ると、壁にはめちゃくちゃツタが張っていて、庭は雑草だらけ、どう見ても廃墟でした。
残念ながら祖母の家は、一回生存ルートに乗ったものの、コロナの影響で残念ながら廃墟ENDとなってしまいました。
コロナきっかけでこうなったケースは、きっと他にもあると思います。
むしろ、コロナ前にギリギリで売れたのは、タイミングが良かったのかもしれない。
廃墟を確認してからしばらく経ちましたが、現時点で家がどうなっているかはわかりません。
祖母と暮らしたのはたった2年ほどでしたが、その間にいろんな思い出が生まれた家です。
奇跡的に、また生まれ変わってたら嬉しいです、
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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