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真似してほしくないフリーライターのなり方②行方知れずの原稿

2023.05.25

真似してほしくないフリーライターのなり方①の続きです。

どっちが悪いと思いますか?

縁あって、六本木のY氏のもとでライター見習いをすることになりました。
学校に通いつつ、六本木でライター修行をする生活をスタートさせます。

Y氏から『全国のイベント情報を書く案件』なるものをやってほしいと命じられた私は、毎日ひたすら全国の無形文化遺産なるものを調べまくりました。そしてそれを200字にまとめては、Y氏に提出。添削をしてもらいます。当時のメールにそのときの原稿が残っていました。

長尾寺力餅運搬競技 (ナガオジチカラモチウンパンキョウギ) 1月7日 無料
大鏡餅の上下と台をあわせた約160㎏の「三宝」を持ち上げ、歩いた距離を競う力比べ大会。県内外から力自慢が集まり、見物客の歓声の中、一歩一歩懸命に餅を運ぶ。若者の体力向上を目的として始められたとされているこの祭りも、今では100年を超える正月の伝統行事となっている。優勝者には賞金と大鏡餅の上段が贈られる。(当日参加可能)運搬競技の前には、本堂から福もちなどが投げられ、大勢の参拝客が福を求めて賑わう。

面白い競技ですね。今もあるのでしょうか?

Y氏に原稿を見せる際は必ず、文字をできるだけ大きく刷りだして、音読してから見せるというルールがありました。
誤字脱字は許されず、見つかったときはその場で原稿を返されるので、毎回緊張していたのを覚えています。

OKをもらった原稿はそのままY氏が引き取っていましたが、それがどうなったのかはわかりませんでした。Y氏も特に言うことはありませんでした。
気にはなっていましたが、「私の書いた原稿がどこかの誌面に載っているはずがない」と謎のネガティブを発揮して聞けませんでした。
後々Y氏から、「自分の書いた原稿がどうなったか普通なら聞きに来るはず」と怒られたのですが、これどっちが悪いと思いますか?

気づいたら大学を卒業していた

ともかくそんな生活を半年くらい続けていたら、私はいつの間にか大学を卒業していました。もともとフリーライターになるつもりだったので就活するつもりはありませんでしたが、かといってY氏の仕事は無給だったので、結構詰んでいたんですね。

前置きが長くなりましたが、いきなりフリーライターになってまず困るのが、収入がないということです。カネがない。長々書いた結果、誰もが予想していた結論で申し訳ないのですが、これに尽きます。だからいきなりフリーライターになるのはやめとけと言いたいのです。

私の場合はなんちゃってフリーライターみたいなものなので、世のフリーライターと一緒にするなという話しなのですが、向こう見ずのアグレッシブさを褒めてください。
(勝手に)名刺をつくったのはその頃です。

しかし、アルバイトを2つ掛け持ちして、朝から晩まで寝ずに働きながら六本木に通って原稿を書いていた私を見て、さすがにY氏も「こいつ、やべぇな…」と思ったのでしょう。ある日突然「これから原稿料出すから。とりあえず今はこれだけ渡しておく」と言って1万円を現金でくれたのです。これが私の人生初の原稿料でした。それまでの無償労働を忘れるくらい嬉しかったです。

ちなみにその帰りに、駅で全額Suicaにチャージしました。

よーし、営業してみよう!

翌月からも毎回原稿料は支払われ(現金手渡し)、なんとかライターとして収入を得ることができるようになりました。とはいえ、たしか月に3万円くらいだったと思うので、全然生活していけませんでしたが、実績が一つできたというのは大きな励みになりました。

相変わらず自分の原稿がどこにいったのかはわかりませんでしたが、私はY氏の仕事を活かして人生初の営業をはじめることに決めます。

その営業とは「新聞社の情報欄の執筆をしています」みたいな、盛りに盛ったことを書いて片っ端から色んな人にメールをするというものです。

続きます。

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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