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劇団S.W.A.T!『3156(サイコロ)』〜カレー食べたかったんだろうな〜

2022.12.12

やっぱり紫のバラですよね。

劇団S.W.A.T! 第63回公演「3156(サイコロ)」を観に行ってきました。
現在12月ですが、観劇したのは9月のことです。まだ微妙に暑かったような気がします。

“還暦記念公演”と銘打たれている通り、主宰の四大海がなんと還暦を迎えたということで、これは行かなければ! 行ってお祝いしなければ! と思った次第です。(以下、四大海に関しては敬称略)


私が四大海にはじめて出会ったのは大学時代で、当時四大海は演技のクラスを持っていました。四大海の授業は、ワークショップ形式でみんなでワイワイしながらの授業だったので、とても楽しかったことを覚えています。今年還暦ということは、当時はまだギリギリ40代だったということですね。
思ったより若かったんだな! せっかく恩師の公演に行くのだから、大学時代の仲間二人に声をかけてみました。しかし前日の夜、そのうち一人から「体調が悪い」と連絡が入りました。案の定コロナでした。こういうこともあると思い、二人誘っておいて良かったと思います。同行してくれたのは、月刊KOMATSUでおなじみのKOMATSUさんです。

詳しくは『月刊KOMATSU』の記事をご覧ください。

なお、四大海へのプレゼントは、紫のバラに「愛しています」というメッセージカードを添えたものにしました。ちなみに、厳密にはバラではなく、ほかの花だったのですが、名前は忘れました。

総動員ではあるけど、二人芝居と言い張る

さて、今回の劇場は、中野にある『テアトルBONBON』というところでした。

ここです。

中野駅から徒歩15分くらいのところにある客席数120の小劇場です。舞台が近いです。『3156(サイコロ)』は、22年ぶりの再演だそうです。2000年に新宿スペース107をカレーまみれにした快作。出演者二人で6役を演じる、サスペンス・コメディー。事前情報だけでもわくわくしてきます。カレーまみれってなに?

お誘いしてくれた、これまた大学時代の先輩で劇団S.W.A.T!の金井さんからは、「二人芝居だけど、みんな出るよ!」と、あらかじめ言われていました。「それは二人芝居なのか?」と疑問に思いましたが、口には出しませんでした。幕が上がると、ダンサー、アンサンブルとして、劇団員の方々がたくさん登場する四大海らしい派手な演出に仕上がっていました。なるほど二人芝居といえば二人芝居だけど、いわゆる総動員ですね。チアガールたちの可愛いダンスではじまり、とても華やかだったのですが、遅れて入ってきた観客の男性が、座席に座れず、小上がりみたいなところでじっとしていたので、そっちが気になって仕方がありませんでした。

カレー食べたいなって思ったときに、思いついた芝居なんだろうな

あらすじはこんな感じです。

物語の舞台は、とある画廊? に繋がるシェアハウス?(結局どこだったんだろう)。
そこには、5人の男性が共同生活を送っており、たびたび共有スペースで交流や談話を楽しんでいます。
そこへ新たにやってきた6人目の男性。彼もここで一緒に暮らすことになるのですが、徐々に、シェアハウスの秘密が明らかになっていく……

みたいなストーリーです。6人の登場人物を、四大海と清水さんの二人だけで演じるので、当然全員が揃うことはありません。早替え&早替えで繰り広げられる会話劇は、コミカルで笑い満載でした。その一方で、シェアハウスには、気味の悪い違和感がずっと根を張っており、観客はその正体がなんなのかを考えます。


中盤、「カレーを作って食べる」というシーンがあるのですが、本当に野菜を切って、卓上コンロでカレーを煮るということをやっていました。多分、舞台上でカレーを作ろうというアイデアから生まれた作品なのだと思います。まさにカレーまみれ。カレーを6皿くらい食べるのを見届けたあと、物語はいよいよ核心へ迫ります。


なぜシェアハウスになんのゆかりもない人物たちが共同生活をしているのか。ネタバレすると、そのうちの一人が多重人格で、全員を演じ分けていた、という結末です。そこまでは観客もうっすらわかるのですが、最後の最後にまたどんでん返しがあるのが、この作品も面白いところです。どんでん返しについては、うまく説明できないので省きますが、観た人によっていくつか解釈がある終わり方になっています。

たとえば、一緒にいったKOMATSUさんと私とでも結末に対する解釈は違っていました。解釈というとなんだかいい感じに聞こえますが、要するに私がよく理解できていなかったとも言えます。事実、終演後、金井さんに確認したところ、KOMATSUさんの推理で合っていたようなので、やっぱりそういうことだと思います。それにしても、久々に見た四大海は、十数年前とまったく変わっていないように見えました。老けないタイプの顔立ちだったんですね。コロナ禍ということで、直接話すことはできませんでしたが、客席から熱い視線を送って還暦をお祝いさせていただきました。

古希でもカレーいけると思うんです。

公演のあとは、中野のレンガ坂にある「みなみのカエル」というバルに寄りました。「せっかくだし、カレーを食べよう」と話していたのですが、思うようなカレー屋がなかったのでバルです。唐突に入ったお店でしたが、お手頃価格で美味しかったので、大満足です。

全然良い写真ではありませんが、美味しかったです。久々に劇団S.W.A.T!の芝居を観ましたが、エネルギーとパワーに溢れた素敵な舞台でした。パンフレットには、四大海からのメッセージとして「世間的にはもう老い先短い人生」なんて書いてありましたが、十数年前とまったく変わってなかったので、気にすることないと思いますよ! まだまだ全然いけますよ! 格好いいと思いますよ! 古希になった四大海が、カレーをもりもり食べる姿を観るのを楽しみにしています。

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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