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- 劇団☆新感線『天號星』前編〜俺がお前でお前が俺で〜
2023年劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星』を観てきました。
出演者の久保史緒里さんにインタビューした記事がこちらです。↓
劇場は歌舞伎町のミラノ座です。
前回、エヴァンゲリオンを観に行った際は、遅刻ギリギリで汗が止まらなかった記憶ですが、今回は普通に時間に余裕をもって、到着できました。
劇団☆新感線を観たのは、2011年の『五右衛門ロック』がたしか最初で最後。
久々の新感線はこのへんで観劇しました。
舞台に近い!!
はじめてミラノ座の一階席に来ましたが、椅子がすごいシンプル。すっきり感がありますね。
俺がお前でお前が俺で
さて『天號星』はどんなお芝居かというと、入れ替わり×チャンバラ劇です。
あらすじ
口入れ屋の藤壺屋主人・半兵衛(古田新太)は、裏で世のため人のため、悪党を始末する〝引導屋〟の元締めとして知られている。
だが、実のところは顔の怖さを買われただけの、気弱で温厚、虫も殺せぬ置きもの。表も裏も、真の元締めは女房のお伊勢なのだった。
あるとき、金さえ積めば誰彼かまわず斬り殺す〝狂犬〟こと、はぐれ殺し屋の宵闇銀次(早乙女太一)が現れる。引導屋を潰し、裏稼業の独占を目論む黒刃組に依頼され、半兵衛を待ち伏せして斬ろうとする銀次。
だがその瞬間、天號星の災いか、二人を雷が直撃! 半兵衛と銀次の身体が入れ替わってしまう。
そこへ銀次を追って上州から人斬り朝吉(早乙女友貴)がやってくる。朝吉は「銀次の首は自分がもらう」と言い始め、銀次の身体に入った半兵衛は、命からがら逃げ出すはめに。
一方、半兵衛の身体に入ったものの、引導屋の主人とは名ばかりと知って失望する銀次。だが自らの野望を叶えるため、この身体を利用することを思いつく……。
天號星に翻弄されながら、己を生きようとする二人。その運命が交差する先にあるのは果たして――!
池波正太郎テイストだそうですが、私は池波正太郎を読んだことがないので、ざっくり時代劇なんだなって思いました。
冒頭から山本千尋さんのアクションシーンです。生の山本さんはとても可愛かった。そしてとても格好いい。ドラマ『埼玉のホスト』観てます。
藤壺屋主人・半兵衛を演じる古田新太さんも登場。
強面だけど、内面はただの普通のおじさんという役どころで、そのギャップが面白い。
で、なんだかんだあって、はぐれ殺し屋の宵闇銀次(早乙女太一)が人を斬りまくります。人を斬ったあと笛を吹きます。COOL。あと肌がめちゃくちゃ綺麗だった。
久保史緒里さん演じる巫女・神降ろしのみさきは、劇中ではアイドル的存在の巫女です。素敵にアイドルしていました。メタ的演出いいですよね。観客の「こういうのが観たいんだよ」を叶えてくれています。
そして、みさきの予言通り、雷が落ちた衝撃で、半兵衛と宵闇銀次の中身が入れ替わってしまいます。つまり、
超絶クールな宵闇銀次が、中身ヘタレおじさんに、
ヘタレおじさんの半兵衛が、超絶クールな剣士へ。
俺がお前でお前が俺で……です。
古田さんと太一さんが二役演じてくれるので、一回で二度おいしい仕掛けになっています。
うっひゃあああ☆っていう、早乙女太一が可愛かった。
あとなぜかは知らないが、やたらエガちゃんの「お前に一言物申す」ポーズをしていた。パンフレットにもありましたが、どういう流れでそうなったのかはわからないのだそうです。
入れ替わった二人は、また別の問題へと巻き込まれていきます。
太一半兵衛は、藤壺屋の権力を使って悪事を働くし、
古田銀次は、敵対する殺し屋・人斬り朝吉(早乙女友貴)に付け狙われることに。
全然戦えない古田銀次に呆れた朝吉は、「俺が特訓してやる」と言って一幕は終了。
めまぐるしい展開で全然飽きないのもすごいです。
一番笑ったのは前髪荷重郎
続く二幕は、山本千尋さんと久保史緒里さんの見せ場のシーンからスタートでした。
久保史緒里さん演じるみさきが歌うシーンなのですが、なんと通路に降りてくる。しかもここである。
本当に目の前で歌ってくれるので、とてもとても良い席でした。
一方山本さんは舞台上でめっちゃ武術している。
どちらを見ればいいのか迷いました。結果、チラチラ両方見ることにした。
物語は佳境へ。
権力を使い、藤壺屋たちが暮らす地域を水没させようと企んだ太一半兵衛。それを防ぐ古田銀次との一騎打ちです。ヘタレだった古田銀次は朝吉に鍛えられたので、戦闘力が飛躍的にアップしています。
気になるのが、入れ替わったままどちらかが死んだら、その後どうなってしまうのかということです。戦ってる本人たちもわからない。でもとにかく戦わなければということで、最終的に買ったのは古田銀次でした。
太一半兵衛は絶命します……が、中身は結局入れ替わらず。
宵闇銀次となった半兵衛は、そのまま裏稼業の人間として生きる道を選ぶという結末でした。
登場人物とシーンが多いので、この理解で正しいのかわかりませんが、大体は合っていると思います。
面白いシーンは100個くらいありましたが、私が一番笑ったのは、途中やってきた刺客? の「前髪荷重郎」というネーミングでした。ただ前髪の毛量が多いだけという。あれ誰だったんだろう?
とにかく見どころの多いお芝居でした。
ステージも豪華だし、キャストも豪華だし、いちいち絵になりますね。
池波正太郎を読んでみたいな、必殺仕事人を見たいな、とも思いました。
本筋とは全然関係ないのですが、今回「ミラノ座トイレ問題」と「ミラノ座帰り導線問題」について発見があったので、それは後編にまとめたいと思います。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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