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角川文庫の思い出②〜宗田理とTボーンステーキ〜

2024.04.16

以前、角川文庫の思い出について書きました。

角川文庫の思い出〜江國香織と山本文緒〜

が、もう一人、角川文庫で欠かせない作家さんがおりました。

宗田理さんです。

『ぼくらの七日間戦争』など、ぼくらシリーズでおなじみです。

書影が現代っぽい。

4月8日、肺炎のため亡くなられたという残念なニュースを、ついさっき知りました。95歳だったそうです。

どちらかというと2A探偵局シリーズ派

『ぼくらの七日間戦争』は、1985年の作品で、今から約40年前。

Wikipediaによると、「ぼくらシリーズは2001年までに累計発行部数が1500万部を数える」ということで、長きに渡り、愛され続けてきた作品です。

私が宗田作品と出会ったのは、小学校高学年くらいのときだったと思います。姉の影響で読み始めたのが、きっかけでした。

ぼくらシリーズももちろん読んだのですが、私がハマったのは、「2年A組探偵局シリーズ」のほうでした。

ラッキーマウスの謎
魔女狩り学園
みな殺し学園
殺しの交換日記
衛生ボーロ殺人事件
魔女狩り事件

……などなど、シリーズはほとんど読んだと思います。タイトル聞くだけで懐かしい。

特に『殺しの交換日記』にはかなり影響されました。小学校6年生くらいのときに、表紙にマジックで大きく「死」と書いた交換日記を友達とつけたほどです。

内容はごく普通の日記でしたが、表紙に「死」とあるだけで、なんか、すごい、特別な交換日記になったような感じがしていました。デザイン的に『DEATH NOTE』とほぼ同じです。

『殺しの交換日記』を読んでいたのは私だけだったので、ほかの友達2人が、どうして「死」と書くのを許可してくれたのかはわかりません。でもみんな「死のノート」と読んでくれていたのを覚えています。

そのうちの一人、Jはきっと覚えているはずなので、今度会ったとき聞いてみようと思います。

いつか絶対にTボーンステーキを食べるんだ

また、『魔女狩り事件』を読んで、イタリアに激しく憧れたこともありました。

これは多分、平成当時の書影。懐かしい。

詳細は忘れてしまったのですが、登場人物が「イタリアのTボーンステーキがめちゃくちゃ旨いんだぜ」的なことを言って、食べる描写があったはずです。

このシーンを呼んで、「いつか私もイタリアでTボーンステーキを食べるんだ」と思ったものです。

イタリアの空気をリアルに感じる描写は、子ども心に衝撃的でした。映像は観ていないのに、本を読んで感じたイタリアを今も思い出すことができます。

メディチ家にスポット的に詳しくなったのも、『魔女狩り事件』のおかげです。イタリアの一族ってすごいな……と、思いました。

結局、ストーリーの最後がどうなったのかは、覚えていないのですが、とにかく面白かったことは覚えている。

教室のみんな消してやろうか

2000年代に入ると、『新・ぼくらシリーズ』が始まります。私が最後に読んだのは、恐らくこのシリースです。

シリーズ2作めの『新・ぼくらの大魔術師』で、冒頭、「教室中の生徒が消える」というマジックをするシーンがありました。

この書影も見覚えある。

たしか教室の後ろに、ベニヤ板で本物そっくりの壁をつくり、授業中、少しずつ生徒がベニヤ板の後ろに隠れていく……というトリックだったような気がします。

「もしかして、実際にできるんじゃないか?」と、うっかり思いましたが、勢いでやらなくて良かったです。クラスが大変なことになっただろう。

作品と共に、自分の思い出も一緒に引っ張り出されます。宗田理さんの作品は、私がジュニア小説をよく読むようになった原点ともいえるかもしれません。大人になった今もたまに読んでいる。面白いからな。

たくさんの素晴らしい作品をありがとうございました。

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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