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- Kバレエ『はじめてのバレエ観賞』〜ランチは絶対妥協してはいけない〜
町中の掲示物はよく見るタイプです
少し前、新宿区の図書館に行ったら、掲示物の中に見つけました。
Kバレエ スクールが主催するイベントのようです。Kバレエといえば、日本を代表するバレエダンサーの熊川哲也さんによるダンスカンパニーです。調べたら熊川さんはまだ50歳なんですね。若い。随分昔から日本代表的な感じで名前を聞いていたので、もっと上かと思っていました。
今回のイベントは、「はじめての〜」とある通り子供向けの催しのようですが、案内によると、Kバレエカンパニーのダンサーの実演も見られるらしい。そしてチケットは2000円。ひょっとしてこれはお得なんじゃない? と思い行ってみることにしました。
場所は新宿文化センター。
新宿三丁目駅から徒歩7分です。わかりやすい道なのですが、途中交差点があったので少し迷ってしまいました。交差点はどこに曲がればいいかわからなくなるので苦手です。
開演20分前くらいに到着すると、会場前は大混雑でした。何か別のイベントと被ってるのかな? と思いきや、みんな『はじめてのバレエ観賞』に来た方のようです。最初はロビー内で列を作っていましたが、途中からロビーにも収まりきらなくなり、列は会場の外にまで伸びていきます。子供たちがわんさかいるので、誘導するほうも大変なんだろうな。私は5分前くらいにようやく着席できました。
意味のない嫌がらせは、本当によくない
イベントは一部と二部に分かれており、一部ではKバレエカンパニーのダンサー、塚田真夕さんがMCとなって、クラシックバレエの起源とは? などの基本要素を説明してくださいました。
バレエは15世紀(ルネサンス期)のイタリアで生まれ、16世紀のフランスで花開いたそうです。ルイ14世が宮廷で踊っていたんだとか。へぇ!
そしてバレエの基本ポジションについての説明では、Kバレエ スクールの生徒さんが舞台上でデモンストレーションをしてくれたのですが、キッズダンサーもいて可愛かった。あんな小さいのに、堂々と舞台の上に立てるなんて立派だなと思いました。
そして一部の最後には、「みんなでバレエのポール・ドゥ・ブラ(腕の動き)をやってみましょう!」ということで、生徒さんの動きを真似する時間がありました。あったのですが、前後左右をキッズに囲まれた状態の私は、気恥ずかしさから観るに徹しました。キッズたちはみんな上手にできていたと思います。
第二部は、楽しみにしていたKバレエ カンパニーのダンサーさんによる実演です。『白鳥の湖』のハイライトを踊ってくれました。ここでもMC塚田さんが、白鳥の湖とは〜、という解説を合間に入れてくれます。
ちなみに『白鳥の湖』のあらすじは……
ジークフリード王子の誕生日。成人を迎えた彼は、母である王妃から翌日の舞踏会で花嫁を選ぶよう命じられる。その夜、湖のほとりで応じはオデットに出会い、あまりの美しさにひと目で恋に落ちる。応じの誠実さに心を許したオデットは、悪魔ロットバルトの呪いによって白鳥に変えられ、夜の間だけ人間の姿に戻れるという悲しい身の上話を語る。彼女を救うために永遠の愛を誓う王子。だが、舞踏会当日、ロットバルトの策略によって王子はオデットによく似たオディールに愛を誓ってしまうのだった。
結末は、オデットと王子は悪魔に破れるものの天国で結ばれるパターンや、悪魔を倒して終わるハッピーエンドなど、複数あるようです。
気になったのは、悪魔のロットバルトは、なんでオデットを白鳥にしたのでしょうか。単純に悪魔だから嫌がらせ? なのか? 少し調べたのですが、理由は誰にもわからないそうです。特に理由もなく人を白鳥に変えるなんてすごい理不尽だと思います。そういう嫌がらせは一番よくないです。
我慢してでもほかの店を探すべきだった
さて肝心の実演ですが、とても素晴らしかったです。
『白鳥の湖』の第二幕よりロットバルトの踊り、オデットとジークフリード王子の出会い、2羽の白鳥アダージオ、第三幕よりスペインの踊り、グラン・パ・ド・トロワよりアダージオ、コーダを披露してくださいました。
ファーストソリストの方が中心でしたが、プリンシパルソリストの杉野さんが登場したときはさすが、拍手が起きました。バレエにはいろいろ階級がありますが、よく知らないので調べました。
(1) プリンシパル 主役級。
(2) ファースト・ソリスト 準主役級。
(3) ソリスト ソロを踊ることができる。
(4) ファースト・アーチスト 群舞の中でリーダー役となる。
(5) アーチスト 群舞を踊る。
などなど。なおこれは英国ロイヤル・バレエ団に準じたシステムで、パリオペラ座ではエトワールとかプルミエと呼ぶそうです。Kバレエでは、プリンシパルとファーストソリストの間にプリンシパルソリストがいるみたいです。
踊りはすごい迫力でした。手足が倍伸びる。あと重力がない。
ダンサーの方、ダンスはもちろんすごいのですが、肉体が美しすぎる。無駄なものがすべて削ぎ落とされて、完璧な筋肉しかない。だからあんな飛んで浮いて止まってができるんだな。憧れます。
演目のハイライトということで、黒鳥オディールによる32回転のフェッテも披露してくださいました。あれがそうだと思うんですけど、違ったらすみません。
ダンサー全員が登場するフィナーレで終わり。とても見応えのある舞台でした。一部ではキッズたちが楽しめるし、二部では大人が楽しい。子供のための催しなので、多少ざわついても気にする人がいないので、親御さんたちも連れてきやすくていいですね。
さらに、締めの挨拶では「今回は一部の実演でしたが、3月にはKバレエ カンパニーで『白鳥の湖』の公演があるので全部観たい方はぜひ来てください」という宣伝もありました。スクールの集客と公演のPR、両方を網羅するキャンペーンとしてよくできているなと感じました。そして2000円はやはりお得でした。
素敵な気分で会場をあとにしたのですが、とてつもなくお腹が減っていました。どこかでランチをと思ったけど、日曜の新宿はバカみたいに人が多い。結局あまり好きではない担々麺を食べてしまったのが、この日唯一の失敗でした。ランチは絶対に妥協してはいけない。そんな学びも得ることができた一日でした。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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