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『101回目のプロポーズ』〜GEOもセルフレジ導入〜

2022.06.25

GEOのセルフレジの緊張感

朝6時でも、もう暑い。日差しがすごい。今週から30度超えが続くそうです。まだ6月なのに。7、8月は涼しくなるのか?日中はできるだけ家の中にいたほうがいいと思います。危険なので。家にいる間は動画配信サービスで、映画やらドラマやらを見る人も多いと思います。私もアマプラ、Netflix、ディズニープラスの3つに課金しているサブスク貧乏なので、膨大な数の作品を観ることが可能なわけですが、当然配信されていない作品もある。でもたまに「これ見たい」と思う作品がある。それが『101回目のプロポーズ』でした。

1991年に浅野温子と武田鉄矢のW主演で放送されたトレンディドラマで、脚本は野島伸司。平均視聴率23.6%、最終回36.7%の大ヒット作品です。武田鉄矢やトラックの前に飛び出して、「僕は死にましぇん」というシーンは、ドラマを観ていなくても知ってるくらい、世の中でこすりたおされている名シーンだと思います。しかし、ざっくり概要を知っているだけでそういえば観たことなかったんですよね。

FODなら配信しているようですが、これ以上課金を増やしても仕方ないので、行きました。GEOに。DVDを直接レンタルしに行くのは久しぶりでした。今や、GEOもセルフレジなんですね。慣れれば簡単ですが、はじめての人はきっと苦戦すると思います。DVDのロックを外す際に気をつけてください。

最初の5分で心を掴まれる

無事にGEOでDVDをGETすることができたので、さっそく観賞しました。

はじまってから5分でもう面白い。武田鉄矢と弟役の江口洋介は、兄弟役で一緒に住んでいるという設定です。純平(江口洋介)が友達を呼んで家で騒いでいるところに、達郎(武田鉄矢)登場という流れなのですが、鉄矢が入ってくるまでの前フリが最高です。

「兄貴と俺は髪型が似てる」という江口洋介に、女性陣は皆期待するわけですが、入ってきたのがおかっぱ頭の中年だったからガッカリするわけですね。そのときの鉄矢のリアクションも笑えます。

一方、浅野温子も妹役の田中律子と、姉妹で二人暮らし。薫(浅野温子)はクローゼットの中にあるウェディングドレスを見て、ひとり涙します。3年前、結婚式当日に、元婚約者の真壁が事故死。以来、彼のことを忘れられないままなのです。ドレスをそのままクローゼットに入れたら、カビ生えちゃわないかな…とか思うのはやめてください。

そんな2人が、ひょんなことからお見合いすることになるのです。

達郎はこれまで99回お見合いに失敗していて、一度は婚約までいったものの、相手に逃げられるという悲惨な恋愛体験をしています。でも諦めずお見合いを続け、毎回「次こそは」と意気込んでいる男です。かたや薫は、周りから無理やりセッティングされたお見合いであって、本人は乗り気ではありません。やる気の無さをアピールするかのように、着物姿なのに、ヘアスタイルはいつものワンレン。やってる人がいないので気づかなかったのですが、着物にワンレンって、めちゃくちゃミスマッチなんですね。幽霊みたいになります。

そんな対象的な2人が奇跡的にマッチングされることに。薫の美貌に達郎は、一瞬で恋に落ちますが、薫は思いがけず中年男性が来たことに驚き、妹の千恵とこそこそ笑います。結構、小馬鹿にします。

でも達郎が自分のモテなさを自虐すると、すかさずフォロー。その優しさを達郎は脈アリと勘違いして、猛烈にアプローチしていく…というストーリーです。全然そんなつもりがなかった薫も、無下にすることができない。どうにかつれなくしても、不思議なタイミングでまた引き合ってしまう。ラブコメですね。

私が一番笑ったのは、たしか2話目だったと思います。達郎がボーナスの80万円を、薫に言われるまま競馬に全部賭けるところです。薫はまさか本当に馬券を買うとは思っておらず仰天するのですが、すでに達郎は後に引けない狂気の顔をしています。レースの行く末を観るためテレビにかじりつく薫の後ろで、狂気の達郎がぐるぐる歩き続けるシーンは、最高に笑いました。本当に武田鉄矢って芝居が上手いですね。

そして、肝心の「僕は死にましぇーん」のシーンは、6話にやってきます。達郎に惹かれつつあるけど、素直になれない薫。真壁を失ったトラウマからまだ抜け出せないでいます。そこで薫は、カメラにドアップで映され、涙をはらはら流しながら言います。

「また好きになって、あなたのことがとても好きになって。…でも、こわいの。私、こわいの。ねえ、こわいの」

この直後、達郎がダンプカーの前に出て、「僕は…」に続くわけです。ちなみに「しぇーん」とは全然言ってなくて、「僕は死にません」とちゃんと聞こえてました。武田鉄矢が強調されがちですが、個人的には、浅野温子の「こわいの」の演技がとても好きです。達郎をダンプカーの前に飛び出させないといけないので、力も入りますよね。

これがもっと下手な俳優だったら、達郎はその場で「僕は死にません」と言っていたと思います。浅野温子も芝居が上手い。

後半はシリアス展開が続く

さて、これで2人は、晴れて恋人同士に…となるはずですが、そうは問屋がおろしません。後半から別の悶着が始まります。真壁と瓜二つの藤井(長谷川初範)が登場し、2人を引き裂くのです。というか、薫が心変わりします。婚約したあとにそれなので、さすがに薫を応援する気持ちにはなれず、私の中の熱もやや冷めていきました。

薫の気持ちが離れていることに気づいた達郎が、慌てて指輪を買ってプレゼントするのですが、薫の指に全然入らない。慌てて指輪をねじ込もうとする達郎が、なんとも哀れで切ないシーンです。結局指輪は入らず、薫も受け取ることはなく。なかなか酷いことする。

そしてここから、薫はとにかく泣きの演技が多くなります。話している途中で感情が高ぶって涙するんだと思うのですが、不思議なのが別に誰もそれを突っ込まない。今のドラマなら、涙に対して何かしらリアクションがあるのが普通だと思うのですが、薫に対しては皆スルー。涙は小道具みたいなものだったんですかね。

すったもんだのすえ、最終回、藤井に別れを告げ、薫は達郎の元に戻ります。夜の工事現場で働く達郎のもとに、ウェディングドレス姿の薫が走ってくるのです。「バーンッ!!」という感じに登場し、同時にチャゲアスの「バーンッ!!」というイントロが始まります。衝撃がすごい。演出の妙ですね。

そして「私をもらってください」と達郎に言うのです。100回目のプロポーズはダンプカーのシーン。101回目のプロポーズはこの最終回で、タイトル回収ですね。

前半が最高にラブコメだっただけに、後半のシリアス展開が辛く感じましたが、全体としてはやはり最高のドラマでした。圧倒的視聴率を叩き出したのも頷けます。名作ドラマブームがしばらく続きそうなので、またGEOにお世話になると思います。

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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