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今村夏子さん『星の子』〜久々に声出して笑った本〜

2025.01.31

昭和歌謡の聴ける店『夏の扉』

いろいろなことが一段落したので、久々に大好きなお店に繰り出してきました。

ゴールデン街の『夏の扉』です。

友達と飲み歩いていたとき、なんとなく入り、その居心地の良さにハマりました。
店名の通り、聖子ちゃん好きのマスター。聖子ちゃんのみならず、店内は昭和歌謡ならなんでも流してくれます。たしか一人2曲までリクエストOKだったような。

近年は、日本のシティポップが世界中でブームなこともあり、外国人のお客さんも多いです。
以前、隣に座ったドイツ人の男子学生さんは、松原みきが好きでこの店にたどり着いたと言っていました。

さて、そこで飲んでいるときに、お友達から「最近、面白かった本とかドラマあった?」と聞かれたのですが、すぐに思いつきませんでした。

振り絞って出した答えが『ちゅらさん』だったのですが、ちょっと古かった。名作だけど。

ところが次の日、出会いました。それが今村夏子さんの『星の子』です。

カルト宗教にハマる両親とその娘の物語

今村夏子さんはこれまで、『ピクニック』『紫のスカートの女』『こちらあみこ』などを読みました。なんとも言えない〜でも面白い〜ので好きです。

『星の子』はざっくり言うと、カルト宗教にハマった両親と、その娘の話
芦田愛菜さん主演で、2020年に映画化もされています。

(あらすじ)
主人公・林ちひろは中学3年生。
出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。

主人公・ちひろの両親は、あらゆる病気に効くと言われている、「金星のめぐみ」という水をきっかけに、どんどん宗教にのめり込んでいきます。仕事も辞めるし、親戚からは疎遠にされるし、長女は家出。引っ越すたびに家はどんどん狭くなり、両親のせいでちひろは友達の親から「あの子とは遊んじゃダメ」と言われるように。散々です。

しかし、ちひろはちひろでマイペースに生きているので、そこまで悲壮感はありません。美人でかしこくてスポーツ万能な女の子、なべちゃんが、付かず離れずの良い関係でいてくれるのもラッキーでした。

カルト宗教にハマる両親と、ちひろの生活を淡々と描いたストーリーで、結末は人によって解釈が違うそうですが、私は好きでした。

小説読んで笑ってる人はじめて見た

作中、なべちゃんの恋人で、新村くんという男の子が出てきます。

ちひろとなべちゃんと新村くんの3人で、ちひろの両親について話すシーンがあるのですが、その会話が面白すぎて、笑いました。

中学生っぽいアホな会話だけど、友達の優しさがあふれる名シーンです。

周りにいた人から「小説読んで声出して笑ってる人はじめて見た」と言われましたが、本当に面白くてしばらく笑ってました。

でも、漫画と違って、小説の面白いシーンを口頭で説明するのは、なかなか難しいです。
頑張って解説しましたが、全然伝わりませんでした。

読んでもらわないとわからないと思う。

というわけで、『星の子』おすすめです。
このシーンで笑った人と、意見交換したいです。



PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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