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- 趣向『オノマリコフェス』〜後編・あの子いつからいた?〜
『オノマリコフェス』後編です。
最前列に座らず後悔
この日はとても良いお天気でした。暑すぎず、絶好の観劇日和。
桜木町駅に来るのは久々です。
青少年センターは、桜木町駅から徒歩8分くらいのところにあります。
複合施設みたいな感じなんですね。
2階のスタジオ HIKARIがフェス会場です。フェスといっても騒ぐ感じじゃないので、穏やかな空気が漂っています。
今回『キョウダイ』を演じるのは、「あまい洋々」さん。結城真央さんという方が主宰している演劇団体(ひとりユニット)だそうです。
スタジオ HIKARIはフラットな空間で、ステージや舞台といったものはありません。50席ほどの客席が配置され、その前方が上演空間になっています。
自由席ってどこに座ればいいか迷いますよね。私は後方中央に座ったのですが、すぐに最前列に座れば良かったと後悔しました。次からは最前列に座りたいと思います。
上演空間には、パイプの二段ベッドが置かれています。これが小道具なのかな。また、上手下手にそれぞれスタンドマイクが配置されています。スタジオ内はほの暗く、なんかもう喋っちゃダメな雰囲気。一人なのでもともと喋る相手もいませんが、じっと待ちます。
あの子いつからそこにいた…?
二段ベッドの中はスクリーンになっており、「キョウダイ」であろう二人の日常が映像となって映し出されている。ちょっとガサついた映像でエモい感じです。
制服着た女の子がキャッキャしていて可愛いけど、なんとなく不気味さもある。
……そのときです。映像に夢中になっていたので気づきませんでしたが、ベッドの2階部分に人が座っているじゃないか。さっきまでいたっけ? 誰もいなかったような? すでに始まっていたのか? ベッドに座った人は前を見たまま、じっと動きません。
「あの子は一体いつからベッドの上にいるんだろう?」と思っていると、上演前のアナウンスをしに人がやってきます。オノマさんです。実際に会えると思わなかったので、今日「せりふの時代」を持ってこなかったことを猛烈に後悔しました。こういうとこだぞ。サインほしかった。次の機会には必ず持参していきたいと思います。
しかしリアルでオノマさんを見ることができて良かったです。桜木町まで来たかいがありました。感極まるものがあって涙が出ました。中央で泣いていたのは私です。
SMAPの『Mr.S “saikou de saikou no CONCERT TOUR』で、吾郎さんがファンに向けて言った「やっと会えたね」という言葉がどこからか降ってきました。あと失礼を承知で言わせてもらえば、アナウンスが噛み噛みだったオノマさん「可愛い!」って思いました。
二段ベッドである意味
そんなこんなで『キョウダイ』が始まります。
演出は結城真央さん、出演は結城真央さん、原田彩世さんです。文章で書き表すのが本当に難しいのですが、とても良い15分間でした。あっという間に終わってしまいました。
二段ベッドがあるだけで、キョウダイっぽさが出るし、家っぽさも出るし、秘密の話っぽさも出る。
かつて私が演出を想像したときは「舞台に、突っ立って、喋るの……?」くらいしか思い浮かびませんでしたが、なるほど、演出家はこんな風に想像を膨らますのだなと勉強になりました。
観客に語りかける際はスタンドマイクを使うのですが、狭い空間の中に、別の空間が生まれたようで、これも素敵な演出です。結城さんと原田さんの息のあったお芝居は、私が想像していた『キョウダイ』そのものでした。
二段ベッドが捨てられている奇跡
上演後は、オノマリコさん、中野坂上デーモンズの松森モヘ―さんを迎えて、結城さんと3人でアフタートーク。
そこでわかったことですが、結城さんと原田さんは実際にルームシェアをしていたほどの仲良しだそうです。え、いいな〜楽しそう〜。
また、半年前にも『キョウダイ』を上演したそうですが、そのときたまたま、捨てられていた二段ベッドを見つけて、小道具として使用することにしたのだそうです。二段ベッド捨てられてるってなかなかないシチュエーション。
オノマさんの『キョウダイ』制作秘話も聞けてよかったです。あるときは男性二人が殴り合いをする『キョウダイ』も上演されたとかで、そっちも気になりました。ト書きがない分、いろんなキョウダイが生まれるってことですね。
短い時間でしたが、大満足のフェスでした。
次はなんだろう? 趣向の本公演とかですか? 楽しみです!
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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