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- 『嫌われ松子の一生』〜人生いち泣いた小説〜
来月、本村より先生のラジオにゲストとしてお邪魔させていただきます!
R’s Message Vol.45
金曜20:00からFMプラプラ(アプリ)よりTOKYO854 くるめラ
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※より先生についてはこちらの記事から↓
より先生の楽しいミュージカルライフ!:創立編
より先生の楽しいミュージカルライフ!:資金繰り編
より先生の楽しいミュージカルライフ!:集客編
テーマは「面白いとはなにか」。
引き続き、面白い何かを探す回です。
人生でむせび泣いた小説No.1
来週末打ち合わせだというのに、まだピックアップする作品がひとつも決まっていない。
由々しき事態です。
本棚を漁っていたところ、懐かしいタイトルを発見しました。
『嫌われ松子の一生』(上下巻)
2004年に出版された山田宗樹さんによる小説です。
ジャンルはなんだ? ミステリー&ヒューマンラブストーリーか?
多分、高校生くらいのときに読んだと思うのですが、クライマックスで号泣した思い出です。
あとにも先にも、小説でこんなにも号泣したのはほかにないと思う。
ちなみに漫画では『ピーチガール』と『大奥』です。
とにかくあまりにもむせび泣いたのが強烈に印象に残っており、今日まで忘れられない作品です。
(あらすじ)
ある中年女性が、公園で何者かに殺される事件が起きる。
女性の甥は、遺品整理のため彼女の住んでいたアパートに向かうが、作業を進めるうちに、女性の人生に興味を持つように。
浮かび上がったのは、女性の壮絶な人生だった……。
作中は、甥視点の現在軸と、松子視点の過去軸が交互に描かれます。
平凡な家庭に生まれ、中学校教員として真面目に働いていた松子が、ちょっとした躓きからゴロゴロと不幸の坂を転がり落ちていく様子は本当に悲惨。
こんなに不幸なことあるか? ってくらい、運に見放されている。
さらに後半、ようやく幸せを掴めるね! と思った矢先に、愛していた人物から信じられない裏切りを受ける松子。
この「あと少しで幸せになれる」が延々と繰り返されるのですが、結局幸せになれない。BAD ENDです。
もしも◯◯だったら…
「なんて不運な人なんだ」と思っているところで、この小説のハイライトがやってきます。
人生の終わりを迎える松子が、薄れゆく意識の中で見たのは、かつて家族と暮らした家でした。そこには元気な家族がいます。本当にこうだったらいいのにな、と思わせてくる演出。
高校生の私はここで涙腺が爆発して、先が読めませんでした。なんで幸せになれなかったんだ松子。
毎日家でキングダムハーツやってた高校生にまで、感情移入させてくるってすごいですよね。
こんな感じで割りと絶望的な物語なのですが、松子の人生を追っていた甥によって、多少救われるラストです。
中谷美紀主演の映画版は、中島哲也監督らしくポップな印象が強めでした。松子がどれだけ悲惨だったかを知るには、やはり原作を読んだほうが良いと思います。
もしかして私は現在軸と過去軸をいったりきたりする作品を面白いと思っているのかもしれない。
少しだけテーマに近づいた気がしました。
まだまだ探してみたいと思います。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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