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- ミュージカル『スウィーニー・トッド』〜変な家〜
『スウィーニー・トッド』後編です。
第二幕に行く前に、この作品のタイムスケジュールをシェアします。
1幕90分
休憩20分
2幕65分
=計2時間55分
個人的に、大型ミュージカルの時間割として、とても理想的に感じます。
合計時間が3時間半になると長いなと思うし、かといって休憩なしの2時間弱はちょっと短いなと思う(『バンズ・ヴィジット』みたいな)。
「もう少し観たかったな〜」と思うのが、ちょうど3時間弱くらいな気がするのですが、ほかの人はどうでしょうか。
前編でお伝えしたように、トイレは混み合うものの、アテンドしてくれる劇場スタッフさんがいるので、比較的スムーズな流れだったかと思います。
そして、この休憩中に、パンフレットや公演グッズを見ようと思い移動。ところが、6階、7階(劇場2階席・3階席部分)のホワイエには、販売所がない?? 私の見落としでしょうか。エスカレーターは登りしかないので、階段で降りるしかない。
結局階段で4階まで降りて、やっとパンフレットが買えました。途中にあったのでしょうか?
そして休憩終了。第二幕です。
人肉パイがバカ売れで大繁盛
人肉パイがバカ売れし、大人気店となったミセス・ラヴェットのパイ屋。そんな馬鹿な。
2階のトッドの理髪店も順調で、街では腕の良い床屋がいると評判です。
ただし、この店に来ると、客は二度と出ることができません。なぜなら、首を切られて殺されてしまうからです。いくらロンドンの治安が悪いとはいえ、この時点で足がつかなかったのはなんでだろう?? 警察も腐敗していたのかな。
<トッドの犯行→人肉パイ>の流れがスムーズになるように、家には仕掛けがされていました。
トッドの犯行が済んだら、2階の床が開き、バーバーチェアから客が滑り落ちて、1階に納められるというものです。
この仕組みを、夜な夜な一生懸命2人で作ったのだと思うと、ちょっと笑えます。
きっと何回もテストしたんだろうなぁ……。
今、雨穴さんの『変な家』が流行っていますが、ぜひ間取りを解説してほしいですね。
トッドとミセス・ラヴェットの店は、ぴったりだと思います。
一番大事なときに失敗するあるある
しかし、うまくいってたのはここまで。
宿敵タービン判事は、あろうことか、自分の養女であるジョアンナと結婚を画策。
嫌がったジョアンナはアンソニーと駆け落ちしようとするも失敗。精神病棟に入れられてしまいます。
そこに目をつけたトッドは、アンソニーを利用して、タービン判事を店におびき寄せることに成功。憎き相手についに復讐を遂げるのです。
ところがトッドの段取りが悪かったせいで、関係ない乞食女も手をかけることに。
一方、1階のパイ屋でもミセス・ラヴェットが、死体の処理に手間取っていました。瀕死のタービン判事に邪魔されて、思うように動けないミセス・ラヴェット。
そこへトッドがやってきます。乞食女の死体をトッドから遠ざけようとするミセス・ラヴェット。おかしいと思ってよく見ると、なんと乞食女は、妻のルーシーでした。
結構何度も接触しているのに、このときまで気づかなかったトッド……どうして?
と思ったけど、街に戻ってきたときすでに、復讐の怪物になっていたということなんだと思います。本当に愛してたら、どんなに容貌が変化していてもわかるよね。
乞食女がルーシーだと知っていたのに、トッドを愛するあまり、わざと教えなかったミセス・ラヴェット。ずっと問題なくやってきた作業なのに、ここぞというときに失敗して、すべての嘘が明るみになってしまいました。こういう凡ミス、共感する〜( ;∀;)
速やかに人肉パイにできていたら、一生気づかれることはなかったけど、天網恢恢疎にして漏らさずです。
全員絶望ルートでENDです
激昂したトッドは、その場でミセス・ラヴェットを殺害。
ミセス・ラヴェットに深い信頼を寄せていたトバイアスが、その様子を見て絶望。トッドを殺害します。
「トッドって最後どうなるんだっけ??」と思ってたけど、トバイアスにやられるのか〜。
今さらやってきた警官隊が、惨状を見て混乱する中、一番錯乱しているトバイアスが、なぜかミートマシンを稼働。
「3回まわすのが大事なんだ……」と言いながら、誰のものかわからない挽き肉が出てきて、終わりです。
全員が不幸になる中、唯一希望ルートに乗れたのが、ジョアンナとアンソニーでした。(ジョアンナはアンソニーによって、精神病棟から脱出済)
2007年に見たときは、「よかったね、幸せになれよ…」と思いましたが、改めて見ると、この2人もろくな未来が待っていないことがわかります。世間擦れしたジョアンナと、顔しか見てないアンソニーのカップルが、うまくやっていけるとは思えない。
つまり全員絶望ルートということです。だから『スウィーニー・トッド』って面白いんだな\(^o^)/
書くの忘れていましたが、この日のキャストはこんな感じでした↓
今回のパンフレットは納得の内容でした
そして、毎回なんだかんだ文句をつけたくなる公演パンフレット(2000円)ですが……今回とても内容良かったです!
演出家、キャスト陣のインタビューはもちろん、ちょっとお遊び感のあるアンケートページ!
市村正親&大竹しのぶ&宮本亜門の鼎談(ていだん)。
そして私が常々欲しいと言っていた、舞台美術と衣装に関するクリエイションページが!
さらに、作品解説として、ヴィクトリア朝の紹介、舞台となったフリート・ストリートの説明!!
宮本亜門による、ソンドハイムとの回想ページも収録。
素晴らしいと思ったのは、キャストページで、トバイアスの紹介の前に、ナンバー『僕がついてる』の歌詞を入れているところです。トバイアスのスペシャルな感じが出ていてGOODだと思いました。
欲を言えば、オフショットページを1見開きにして、指揮者インタビューを入れてほしかったけど、本当欲を言えばです。
2000円の価値ありな、公演パンフレットでした。ホリプロさんは、プログラムスタッフに毎回小杉厚さんを起用されたら良いと思います。
劇場から出る際は、階段をご利用ください
最後に、劇場を出る際は、階段から下るのがおすすめです。
エスカレーターが狭いの一つしかないので、とても混み合います。
階段だと、ブリリアホールの3階席(建物7階)からサクサク下に降りられます。ただ、下るにつれ、人混みが多くなるので、それはまぁ、仕方ない。
17年ぶりに観た(^p^)、『スウィーニー・トッド』は、大変満足な観劇体験でした。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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