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六月社の思い出〜6年前に閉店してました〜

2024.05.04

そんな前に閉店してたの?

高田馬場にあった雑誌図書館「六月社」が、2018年に閉店していたことを昨日知りました。今から6年前じゃないか。

1983年に開業、400種10万冊の雑誌が読める会員制の私立図書館でした。

2階建て? だったかの小さいお店の中に、所せましと雑誌が並んでいました。もちろんそこだけじゃ間に合わないので、近くに分社があったような。

ハリー・ポッターの映画は全然見てませんが、それに出てきそうな感じの、ノスタルジックな古い図書館でした。

主に新聞や出版関係の人たちが、過去の文献を漁るために利用していたそうで、最盛期には月に1000人の利用者がいたと言います。

が、ネットの普及によって利用者は年々減少していき、最後の年は利用者がゼロの日が相次いだとかでついに閉店を決意したんだそうです。

最盛期には8人のスタッフがいたというから、めちゃくちゃ繁盛していたんだろうな。

私は8年くらい前に利用したきりですが、そのときはまだスタッフは二人くらいいた気がします。若い方でした。

ほんの数回しか行っていませんが、六月社のことはいまだに強烈に印象に残っています。
なぜなら、利用難易度がめちゃくちゃ高かったからです。

「六月社はヤバイ」

はじめて利用するとき、同僚から「六月社はヤバイ」と聞かされていました。

というのも、一見さんは会員にならないと利用できないので、お店に入ったらまず受け付けしないといけないのですが、そう簡単には受け付けしてもらえないというのです。そんな馬鹿な。

しかし、どういうわけか多くは語らず、「行ったらわかる」としか言わない。

それならばと、一人で六月社に入っていきましたが、同僚の言う通り、受け付けの時点で門前払いされそうになりました。というのも、こちらの店主がとてもクセの強いおじさんで、

「はじめてのご利用ですか? 入会の規約は読んできましたか!?」

と、唐突にキレられたのです。

入会の規約ってなに? は、はじめて来たのに読んでるわけなくない……!?

混乱するばかりです。

ただ、事前に「六月社はヤバイ」と聞いていたのもあって、冷静に「規約は読んでいない」「ここで読ませてほしい」ということを伝えると、店主も落ち着きを取り戻したようで、分厚いファイルを渡されました。そこに利用規約やルールが書かれており、全部に目を通してから入会受付という流れだったように記憶しています。

ひたすら規約を読み、なんとか入会という試練を突破した私は、晴れて六月社を利用できるようになったのです。

音を立てないように静かに図書館を徘徊する

が、狭い図書館の中で、目当ての雑誌を探していると、ときおりおじさんが見に来る。あんまりウロウロしてるとまたキレられそうで怖い。なので、おじさんから逃れるように、図書館の中を、息を殺しながら見つからないよう、移動していました。『クワイエット・プレイス』の世界です。

何をきっかけにキレてくるかわからないおじさんですが、私が目当ての雑誌を即座に探し当てたときは、「(なぜかすぐそばにいて)ああ、やっぱりさすが上手ですね」とお褒めの言葉をいただきました。あのときは嬉しかったです。

あるときは、若い男性客と喧嘩しているのも見たことがありますが、日常茶飯事だったんだろうな。

2018年の記事によると、10万冊の蔵書は貰い手が見つからず、処分される危機にあったそうです。その後、引き取り手が見つかりそうだという記事もありましたが、結局どうなったのかまではわかりませんでした。

個人的には、2000年頃の『ピチレモン』だけでも欲しかったなぁと思います。読み物ページを見て懐かしみたかった。

六月社の跡地は今どうなっているのでしょうか。
おじさんお元気で。

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

COMMENTS

  1. 不動明子(ペンネーム) より:

    六月社の閉店は、社内でも話題になったのでおそらく中村さんが昨日まで知らないはずはないのでは…? と少々疑問を感じております、不動明子(ペンネーム)です。
    「六月社はヤバい」のアドバイスが生きていたようでホッとしました。あのおじいさん、今頃なにしてるんでしょうね。今度、六月社の跡地に行ってみたいと思います。

    • 未来中村 より:

      不動明子さん(ペンネーム)、コメントありがとうございます!
      じつは、この記事を書いている途中で、頭イチチしながら「あれ、私六月社が閉店したこと知ってる……?」と、もう一人の人格の記憶が呼び起こされていました。
      でも、途中まで知らないていで書いてしまったので、あとには引けなかったことを、この場を借りてお詫びしたいと思います。六月社の思い出と共に。ソソソソソーリー。

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