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- 大森カンパニープロデュース『更地SELECT〜SAKURA Ⅶ』〜気になる坂本あきらさんの台本〜
※激しくネタバレしているので、まだ観ていない方はご注意ください。
念願の『更地』!
大森カンパニープロデュースの『更地SELECT〜SAKURA Ⅶ』を観劇してきました。
昨年に観た『おうけつ』に続き二回目の大森カンパニーです。
じつは私は大森カンパニーではずっと『更地』が観たかったんです。
公式サイトには、『更地』についてこんなふうに説明しています。
更地
コントは短い喜劇である。 喜劇は真面目にやるから面白い。
シンプルなステージで役者力で「笑い」を作る。 それが『更地』 何もない舞台=更地。
「コント」と言うと、現在テレビで演じられている芸人さんの コントが想起されるので、 大森 カンパニーでは敢えて芝居コントと表現している。
「笑わせよう」などとは考えない。
余計なことはせずに台本に書かれていることを真面目にやる。
常に自分がシュートするのではなく、 上手いパスを回して作品自体のクオリティを上げる。
それが『更地』です。
芝居コントがどんなものか気になっていました。また、「更地が面白い」という話も各所で耳にしていたので、念願の初観劇です。
今回も演出家で俳優の横山清崇さんが出演されます。また、坂本あきらさん、伽代子さんら、『おうけつ』キャスト陣の名前を確認しつつ、いざ下北沢ザ・スズナリへ。
レトロな外観がいいですよね。小劇場って感じがします。
階段もレトロです。
ロビーはお花でいっぱいでした。
平日の昼間でしたが客席も多分満席。小劇場にこんなに人が座っているのを観るのは、もしかしたらコロナ禍以降、はじめてだったかもしれません。
マイベスト4を選ぶならこれかな
今回の『更地』は13作品のコントで構成されています。
1 裏切りの街角(更地8)
2 堕ちぎわ(更地4)
3 親友ホテル(更地2)
4 apologize(更地15)
5 私のデモ(更地7)
6 SP(更地7)
7 中坊ですよ(更地12)
8 シンキング・ヒーロー(更地14)
9 SETSUKO(更地8)
10 深夜バス(更地2)
11 仁義っ子(更地7)
12 無銭飲食(更地3)
13 アイドルセンター対決(更地7)
タイトルがいいですよね。
コントなので設定やストーリーはむちゃくちゃなのですが、どんな世界観でも役者の皆さんが見事に演じきっており、なるほどたしかに芝居コントでした。
皆さんすごく真面目なのが逆に面白かったです(坂本あきらさんに関しては、台本とアドリブの境目がわからなかった)。
13作品どれも面白かったのですが、特に好きだったのは、『親友ホテル』『シンキング・ヒーロー』『深夜バス』『アイドルセンター対決』かな〜〜。
『親友ホテル』の設定はホテルのフロント。受付しに来た客と、なぜかタメ口が交じる慇懃無礼なホテルマンとの攻防です。
ホテルマンを演じる横山さんが、高嶋政伸にしか見えませんでした。サブルミナル的に繰り出されるタメ口が笑えました。絶妙な間合いもすごかったです。
なかでも私にヒットしたのは、宿泊客役の大森さんの「友達の下宿じゃないんだから!」という台詞。さりげなさすぎて私でなくちゃ聞き逃しちゃう台詞でしたが、友達の下宿という昨今ではあまり聞かないチョイスで、なんかツボりました。
『シンキング・ヒーロー』は、ヒーローショーで主人公を演じることになった男の物語。ところが演じるヒーローがなんか変。名前は“仮面ライダーニンシキ(認識)”で、敵は“虚無”。人間の存在理由を求めて戦います。「絶対子供にウケるはずない」と言いつつも、子供たちや考えてくれたスタッフのためにヒーローを演じなければならない男の悲哀が面白かったです。近江谷太朗さんが特撮顔なのもウケた。
『深夜バス』は私の大好きな伽代子さんが頑張っていました。
深夜バスに乗り込んだ男。前後に座った女が、男を挟んで言い争いを始めます。口論はエスカレーターしていき、ついに男も巻き込まれてしまう。さらに別の男が乗り込んできて追い打ちをかける事態に……。
伽代子さんの「深夜バスなんだから、大きい声出さないでよ!(大声)」がベタだけど好きです。
大トリは全員が出演する『アイドルセンター対決』。平均年齢52歳の皆さんの、昭和的なアイドル姿がまずツボ。決めポーズも絶妙にダサい。でも笑顔は眩しい。
なんとも言えないアイドルダンスを踊る姿が可愛かったです。これアンコールでもう一度踊っていただいたのですが、欲を言うなら三度目観たかった!
ところでずっと「どこかで見たことある人がいるな〜アイドルだったかな〜」と思う方がいたのですが、なんと及川奈央さんでした。めちゃくちゃ美しくて眩しかった〜……。どうりでセンターが似合うわけだ!
ほかにも細かい笑いポイントを数えたら、全部で200個くらいはある大満足の『更地』でした。
じつは私も大昔、コントが書きたくて、勉強していた時期がありました。
あっさり挫折しましたが、今回『更地』を観て「こういうのが書きたかったんだよな〜」と思い出しました。もう一回爆笑王読むか。
アローン観劇だったので、残念ながら200個の面白ポイントを語り合う人がいませんでした。次回はKOMATSUさんを誘って観に来たいと思います。
あと、別日の『無銭飲食』がどうなってるのか気になりました。坂本あきらさんの台本に何が書かれているのか誰か教えてください。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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