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- 大森カンパニープロデュース人情喜劇シリーズ第13弾『トコトン、いじはり』前編〜あれから1年?〜
あれから1年?本当に?
vol.46 人情喜劇シリーズ第13弾『トコトン、いじはり』
を観に行ってきました。
※ここからネタバレあるのでご注意ください。
2016年初演のこの作品は、2018年に再演、今回が3度めの上演だそうです。
タイトルも『いじはり』から『トコトン、いじはり』に刷新。
大森カンパニーのお芝居は、お仕事でご一緒した演出家の横山清崇さんが出演されるということで見に行ったのが最初のきっかけでしたが、いまやすっかりカンパニーのファンです。おなじみの出演者の方々の顔と名前も、もうわかる。
場所は下北沢小劇場B1です。
銭湯のお芝居ということで、舞台にはのれんや、銭湯の受付。そしてなぜかわからないけどサンドバッグも吊るされている。
山口良一さんの前説が始まると、客席は和やかな笑いに包まれます。
が、このとき山口さんが「人情喜劇シリーズ」と言ったことで、私はアレ、と思いました。
大森カンパニーの人情喜劇シリーズは年末の恒例行事。ということは? 前回観た『おうけつ』が1年前ということ??
この瞬間までそのことに気づいていませんでした。1年が風のように過ぎていった……。
サンドバッグのある風景
今回のあらすじはこちら↓↓
舞台はとある町の銭湯・大黒湯。かつては駆け込み寺ならぬ、駆け込み銭湯として、居場所をなくした人たちの拠り所となっていた。しかし時代の流れとともに客足は遠のき、さらには近所にスーパー銭湯ができたことで閉店の危機に。ピンチを救うべく現れたのは、“三湯士”と呼ばれる3人の男たち。かつてこの町の世話役として、暴力団とも渡り合ってきた伝説の英雄だが、今や全員人の良いおじさんに。果たして“三湯士”は、大黒湯を救えるのか!?
大黒湯の店主である結城が、DVから逃げてきた女性や、親からネグレクトを受けた子どもたちと一緒に銭湯を切り盛りしている……という、下町情緒溢れる物語です。時代設定は昭和のようですが、現在でも違和感のない世界観でした。スマホとかが出てこないくらい。
三湯士を演じるのはもちろん、坂本あきらさん、山口良一さん、大森ヒロシさんの3人。
その昔は、武闘派だったそうですが、50代、60代、70代となった彼らは、完全にただの面白おじさん(褒めてます)。坂本あきらさんのセリフ忘れは、もはやアドリブなのかわからないけど、毎回笑うし、楽しみになっている。
そんな彼らが帰ってくるのを聞きつけてやってきたのは、かつて敵対していた暴力団の残党たち。彼らのシノギだった悪質なテキ屋を、三湯士が一斉撤去したことを恨みに思っていたという設定です。
佐久間哲さん演じる元暴力団の安西とともに現れたのが、中国人の用心棒、黒石曜子。
演じたのは國井舞姫さん。オーディション合格からの初参加だそうで、なんと19歳! 出てくるなり、サンドバッグを蹴り飛ばしました。なるほど、サンドバッグはこのためにあったんですね! その直後安西とバトルする國井さん。すごいアクションでした。登場シーンはそんなになかったけど、とても印象に残る役者さんでした。
とにかくこの2人が、大黒湯を陥れようといろいろと画策するわけです。
この昔の因縁絡みのトラブルが勃発する一方で、さらに問題として浮上するのが、近くにできたスーパー銭湯。
こちらはわかりやすく、古い銭湯を潰そうとしてきます。
岩田有弘さん演じる経営者の小佐野は、一見優しそうだけど腹黒い男。
大黒湯を潰すどころか、地域を再開発して新しい町に作り替えようと企んでいます。
大黒湯、元暴力団、スーパー銭湯と、三つ巴の戦いがいよいよ始まる!!
……というところで、ちょっと長くなったので後編に続きます。
中村 未来Nakamura Miku
千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。
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