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舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』後編〜ノリカの体は半分が足〜

2024.03.04

前編からの続きです。

舞台『メイジ・ザ・キャッツアイ』前編〜神風怪盗ジャンヌと浜崎あゆみ

3階席は下手が見えません

今回はギリギリでチケットを取ったこともあり、座席はこの辺でした。

下手がやや死んでいるけど、そこまでストレスではない。

あらすじはこちら↓

時は明治。東京の夜を騒がせるのは、麗しき女泥棒・キャッツアイ。その正体は喫茶猫目を営む、来生 瞳(藤原紀香)・泪(高島礼子)・愛(剛力彩芽)の三姉妹だった。ある日喫茶猫目に、車いすの少女・栞とその執事・藤堂が現れる。外国から帰って来たばかりという二人が、喫茶猫目にやってきた目的とは…?
同じ頃、キャッツアイが盗みに入った浅草の料亭では、突如として謎の怪盗・ホークスクロウが現れる。瞳のピンチを救ったホークスクロウは意味深な発言を残して去っていく…。 ある日、栞と藤堂に招かれて足を運んだ栞の屋敷には、3姉妹が探し求めるミケール・ハインツの絵があり、あまりの偶然に驚く3姉妹。栞と藤堂の目的は一体なんなのか。ホークスクロウの正体は一体何者なのか…?

原作ファン的には、これはおなじみのストーリーなのでしょうか?
いよいよ幕が上がります。

浅野温子の婚約者役だった人だ!

剛力ちゃんに続き、藤原紀香(以下、ノリカ)、高島礼子と登場。

華やかさがすごい。特にノリカですが、体の半分が足でした。3階席の遠目でもわかるくらい、腰が高い。50歳を越えてあのナイスバディは本当にすごいですね。努力の賜物だと思いました。

原作の三姉妹は、愛は10代、姉2人は20代だと思うので、キャストとはかなり年齢差があるのですが、そんなの全然気になりません。ノリカが20代と言ったら、20代なんだ。

キャッツを追いかける刑事であり、瞳の恋人でもある内海俊夫を演じる染谷俊之さんも、格好良かったです。あのガムシャラな感じは、なんとなく覚えています。

そして、謎の執事・藤堂を演じる、美弥るりかさん。元タカラジェンヌで、月組二番手スター。佇まいが美しく、歌声も綺麗。しかし、本編ではコメディ担当だったので、振り切ったお芝居が面白かったです。冒頭の「屁をこいた おちゃめな女だ 惚れた」のくだりが印象的でした。観た人にしか伝わらないシーン。

さて、来生三姉妹は、昼間は喫茶店を経営しつつ、夜はキャッツアイとして泥棒を働いているのですが、それには理由があります。天才画家だった行方不明の父が遺した絵画を盗むことで、本人を見つけたい……というのが目的です。間違っていたらすみません。

しかし、それを阻止しようとする人物が現れ、物語は複雑になっていきます。

この三姉妹の父親役を演じたのが、長谷川初範さんです。長谷川さんといえば『101回目のプロポーズ』で浅野温子の婚約者役を演じた人ですよね。ドラマ好きだったので、本物が見られて嬉しいです。

あれ、このまま終わり…?

さて、本編では鼠小僧や、ライバルのホークスクロウが現れ、怪盗たちが混戦状態に。

この人たちは何を盗みたいんだっけ? と一瞬目的を忘れそうになります。

ドタバタと戦って、なんやかんやあって、「あれ、なんであの絵があの子のところに?」という謎を残して前半が終了。30分間の休憩が入ります。

後半も引き続き、泥棒たちがバタバタします。

しばらくしたところで、突然三姉妹による杏里の『CAT’S EYE』歌唱がスタート。

せり上がる舞台に乗って、歌い上げるノリカたち。
かと思ったら、いきなりカーテンコールが始まる。

あれ? これでエンディング? 早くない? 演出かな? と思いましたが、なかなか終わらない。普通にみんなで出てくるし、ノリカは歌ってるし。

物語がどうなったのか混乱しましたが、やっぱりそういう演出でした。

目の前を手を振りながら通過していくノリカ

そして今回のハイライトがやってきます。ノリカの宙乗りです。

みんながバタバタやっているすきに、一人ゴソゴソ準備しているノリカ。すると、突然宙に浮かび上がります。

小さな台に乗ったノリカが、客席から5,6メートルの高さまで上がり、空中をふわふわと漂うではありませんか。乗っている台座は両足で立って、あと少しゆとりがある程度しかなく、すごく不安定に見えました。進行方向に傾くのでずっと斜めになっているし。さらに、上半身を固定しているのは、多分ベルト一本。恐らく背中側でしっかり固定されているのでしょうが、前半分はガラ空きです。その状態で客席に向かって手を降ってくれるノリカ。

ラッキーなことに、進路は下手側だったので、3階席の私はめちゃくちゃ間近で宙乗りノリカを拝むことができました。口開けてノリカにたくさん手を降ったよ。

そして、明治座の天井の中へと消えていくのでした。あそこにあんな大掛かりな仕掛けが隠されていただなんて、すごい舞台機構だ。

また、ロープを使った空中パフォーマンスもすごかったです。それ専門のダンサーの方が、舞台上の高いところで、体一つでぐるぐるしたり、真下に向かってダーッと下がっていくのを観てハラハラしました。エアリアルっていうんだそうです。

後半は、そんな大掛かりな演出で盛り上がりました。

肝心のストーリーはというと、ついに恋人であり刑事の俊夫に捕まってしまった瞳。でも、愛の力で乗り越えます(?)。そして、敵対する組織がいるニューヨークへと旅立つのでした。

続きがありそうな終わり方。でもハッピーエンドです。

今度こそ本当のカーテンコールがあり、盛大にエンディングを迎えます。

アンコールでは、代表して何人かの役者さんたちがご挨拶。皆さん、続編を希望しているようで、やっぱりあるのかな? と、観ている側も期待してしまいます。

ノリカの挨拶では、原作者の北条司先生への感謝の言葉が印象的でした。さすがのバランス感覚だなと思います。

華やかで、元気で、面白もたくさんあって、とても良い舞台でした。

舞台が明治になると、衣装も袴や着物がたくさんで可愛い。剛力ちゃんは袴が鬼のように似合うし、高島礼子さんも着物がすごく艶やかでした。

そしてノリカ。ノリカは声が良い。声が可愛い。今までは特になんとも思いませんでしたが、今回でノリカのことが好きになりました。

続編があるならきっと観に行きたいお芝居です。

PROFILE
演劇ライター 中村 未来

​中村 未来Nakamura Miku

千葉県習志野市出身の演劇ライター、シナリオライター。
玉川大学芸術学部卒業。
趣味は演劇鑑賞と漫画を読むこと。
東京都在住。

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